2019年2月25日 公開

ダークLとは?日本人が苦戦しやすい「L」の発音パターン2つ

日本人が苦手としやすい英語の発音に「L」があります。じつは「L」には2つの発音があり、そのうちのひとつが「ダークL」と呼ばれるもの。「オゥ」のような音のことを指します。こちらでは発音がダークLになる単語の法則、発音方法、代表的な単語をまとめてみました。

ダークLとはどのような発音?

Africa Studio / shutterstock.com

英語の発音で難しいものといえば「LとRの発音の違い」が代表格。「L」の音は舌先を上前歯裏の歯茎につけた状態から、勢いよく離して発声するのが基本です。しかし「L」の発音方法は、これひとつだけではありません。そこで登場するのが「ダークL」です。

ダークLの発音を含む英単語はよく目にしているはず。その一方で、ダークLとふつうのL(クリアーL)の使い分けは意外と知られていません。非英語圏にはそもそもダークLの音が母国語にない地域もあります。日本人をはじめとする非ネイティブスピーカーが、ダークLで苦戦しやすいのはこのためです。

たとえば以下の単語は、ダークLで発音します。

・apple 「アップル」ではなく「アッポゥ」
・milk 「ミルク」ではなく「ミオゥク」

元来の英単語の発音が、カタカナ英語とは全く異なることがわかるでしょう。「アッポゥ」「ミオゥク」に共通している、「オゥ」のような音がダークLです。

ダークLの発音になる法則とは


それでは「L」は、どのような条件にダークLとなり、「オゥ」の発音をするのでしょうか。基本的なルールは「Lのあとに子音が続く」、または「単語の末尾にLがくるもの」です。例外や国や地域によって発音が異なる場合もあります。

子音とは、母音(ア/a・イ/i・ウ/u・エ/e・オ/o)以外の音のこと。つまり「Lのあとに子音が続くもの」の例は、以下のとおりです。

・elbow 「エルボー」ではなく「エオゥボー」
・help 「ヘルプ」ではなく「ヘオゥプ」

一方、「単語の末尾にLがくるもの」の具体例は以下のとおりです。

・real 「リアル」ではなく「リアオゥ」
・e-mail 「イーメール」ではなく「イーメイオゥ」
・people 「ピープル」ではなく「ピーポゥ」

「people」の場合は語尾が「le」ですが、この「e」は発音しない「サイレントe」と呼ばれるものです。このため「people」の語尾は「l」という扱いになります。

歌を使ってダークLの発音練習


ダークLの発音のポイントは2つあります。

1. 舌を喉側に引き、舌は中央に持ち上げるようにして発声する
このとき、舌はどこにも触れない状態にします。唇は少し丸みを帯びていますが、完全に丸くなると違う音になるため注意しましょう。

2. 発声しながら舌の先端を前に引き戻し、上前歯裏に接するようにする

慣れるまでは口の動かし方をイメージして、鏡の前で練習してみましょう。筆者は子どもと一緒に、英語で『きらきら星』の始まり部分を歌うことがよくあります。歌詞は以下の4単語のみです。

Twincle twincle little star
(トゥインコゥ、トゥインコゥ、リトオゥ、スター)

「twincle」の「l」はダークL、「little」の語頭にある「l」はクリアーLですが、語尾「le」はダークLです。シンプルな歌詞ですが、2つのLが登場するため良い練習になるでしょう。

ダークLの代表例


ここでは、ダークLの音を含む英単語をカテゴリーごとに見てみましょう。特にお子さまに馴染みがあるものをピックアップしました。

【食べ物】
apple(アッポゥ)、pineapple(パイナポゥ)
【玩具・遊具】
ball(ボゥル)、bubble(バブゥ / シャボン玉)、jungle gym(ジャンゴゥジム)、pool(プール)
【建物】
school(スコォール)、hospital(ハスペロウ)
【形】
circle(サーコゥ)、oval(オーヴァル / 楕円)、triangle(トライアンゴゥ)、rectangle(レクタングュゥ / 長方形)
【動物】
camel(キャムル / らくだ)、turtle(タートゥ / 亀)

形や色を題材にしたお子さま向けの英語の歌はたくさんあります。耳で覚えて、発声する機会をつくってあげるのも良いでしょう。

注意したい「L」もある


少し注意が必要な「Lの発音変化」についてご紹介します。「高い」という意味の英単語「tall」を例にみてみましょう。「tall」の「l」は語尾にくるので、ダークLの発音となります。「トオゥ」という発音です。

この「tall」を最上級形にすると、「tallest」に変化。つづりを見ると、「l」のあとに母音の「e」が続きます。つまりこの場合、ふつうのLの発音「トーレスト」が正解です。

このように原形の英単語がダークLの発音でも、変化形によってふつうのLの発音になる場合があります。

親子で楽しく、繰り返し慣れていこう


ダークLの発音について知り、気分もダークになりそうと思われる方もいるかもしれません。

でも、ご安心ください。

まず、「Lには発音が2つあること」、「ダークLとは何か」、が頭の片隅に残ったら、十分です。
そして、ダークLの理論を知らなくても、小さなお子さまは聞こえた音のとおりに発音できたりします。

英語に限らず、語学学習は地道な繰り返しを積み重ねていくものです。
育児も日々の積み重ねですよね。

お子さまと同じ単語を発声しながら、親子の絆と英語力をゆっくり少しずつ育んでいきましょう。疲れている時は無理せずにお休みしましょう。楽しい気持ちで臨んでいきたいですね。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう

3分でわかる知育マガジン「Chiik!」

RECOMMEND この記事を読んだあなたにオススメ

英語の発音記号とは?発音記号の読み方を知って英語力を上げよう

英語の発音記号とは?発音記号の読み方を知って英語力を上げよう

日本人が苦手意識を抱きやすい英語の発音。発音を学習する際に「発音記号」を活用したことはあるでしょうか?英語にはカタカナでは表記できない音がたくさんあります...
英語の音節(シラブル)とは?発音が上手になるキホンを解説!

英語の音節(シラブル)とは?発音が上手になるキホンを解説!

英語には音節(シラブル)という発音上の要素があります。これを理解することが、英語の聞き取りや発音の上達のカギ。英語がうまく聞き取れない、なかなか英語らしく...
子どもにもわかる「LとRの聞き分け方」発音のコツは?

子どもにもわかる「LとRの聞き分け方」発音のコツは?

日本人が苦手とする英語のLとRの聞き分け。LとRがつく単語は使用頻度も高く、できれば苦手意識を克服したいものです。聞くのも話すのも難しいこれらの発音ですが...
英語のリエゾン(リンキング)とは?仕組みと実例を解説

英語のリエゾン(リンキング)とは?仕組みと実例を解説

なめらかな英会話を聞いていて、単語がどこで区切られているのかを聞き取れず混乱した経験はありませんか?英語の文章中、ふたつの単語が連結して発音が変わる現象を...
英語の「母音」「子音」とは?発音の基礎知識をご紹介

英語の「母音」「子音」とは?発音の基礎知識をご紹介

英語を学習するうえで覚えておきたい「母音」と「子音」のルール。英語は、日本語とは異なる母音・子音の特徴を持っており、一見するとなんだか複雑に見えます。しか...

WRITER

trans trans  海外在住(英語圏・中国語圏)通算9年、2女の母。 英会話講師・テクニカルライターを経て、現在は在宅翻訳・ライティング・全国通訳案内士としてフリーランスの活動に奮闘中。目下の夢は、娘2人とぶらりNY旅&NYの母校訪問。