「L」「R」の聞き分け・発音が難しいのはなぜ?
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日本人が苦手とする発音の代名詞ともいえる、英語の「L」と「R」。どうしてもネイティブに伝わらない、聞き取れないという声がよく聞かれます。「L」は日本語のラ行の音に似ていますが、じつは「L」も「R」も日本語にはない音です。母国語に存在しない音であるために、正確に聞き取れない・発音できないのは自然な成り行きと言えるでしょう。
英語の単語や文章に、アルファベットで読み方がついているときはありませんか?この場合「L」も「R」も、ラ行で書き記されている場合がほとんどです。たとえば「light」「right」はライト、「alive」「arrive」はアライブです。
読み書きができるようになる年齢以上の子どもは、読んだとおり日本語のラ行の音で発音します。これが「L」と「R」が同じ音になり、カタカナ英語のような発音になってしまう理由です。
子どもは聞き取りの達人
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母国語にない音だから「L」と「R」を聞き取れない、と先述しました。しかし「耳の臨界期」に到達するまでは、聞き分けが比較的容易だとされています。アメリカの神経生理学者・レネバーグによると耳の臨界期は9~12歳頃で、この年齢を過ぎると言語獲得が難しくなるというのです。
日本で暮らすぶんには当然、日本語だけで生活できてしまいます。つまり聞き分けや発音の観点から言えば、「自然の英語の音が耳に入る環境」を作ることが大切です。聞き取りの達人ともいえる幼児期のお子さまは、それだけで「L」も「R」も聞いたとおりに発音できる土台を養っていけます。
「L」を発音するときの口の動きとポイント
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「L」の音は日本語のラ行に似た音なので、聞き取りはそれほど難しくありません。ただし正しく発音するには、「L」の口の動きに慣れる必要があります。日本語のラ行の音とは舌の動きが異なり、正しい音を出すのは意外と難しいもの。早速練習してみましょう。
【口の動き】
舌の先端を上前歯の裏(つけ根あたり)につけて発声します。このとき舌の側面などは、口の中のどこにも接触しません。
【ポイント】
日本語のラ行の音に似ていて、「R」よりクリアに聴こえます。
【練習】
舌の先端を上前歯の裏に当てた状態で、「ラ・リ・ル・レ・ロ」と発声しましょう。単なる日本語のラ行の場合は、舌の位置がもっと奥になります。
・glass(グラス)
・fly(フライ)
・long(ロング)
・lap(ラップ)
・alive(アライブ)
「R」の発音の口の動きとポイント
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「R」の音は、日本人にとって最も聞き取りにくい音のひとつ。口の動き(舌の筋肉・表情筋)に慣れて、聞き分け・発音の上達を目指しましょう。
【口の動き】
①舌を奥に引きます。
②結果として舌が丸まった状態になり、そのまま口の中のどこにも接触しないように発声してください。
※いわゆる巻き舌とは異なるので注意しましょう。
【ポイント】
「R」の前に「小さなウ」を入れるイメージです。犬の唸り声「ゥー」を喉の奥から出すような感覚で発音します。
【練習】
舌を奥に引いて丸めた状態で「ゥラ・ゥリ・ゥル・ゥレ・ゥロ」と発声しましょう。
・grass(グゥラス)
・fry(フゥライ)
・wrong(ゥロング)
・wrap(ゥラップ)
・arrive(アゥライブ)
簡単な「L」「R」の発音練習
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「日本語にない音を発音する」ということはつまり、「普段は使わない筋肉(舌・口周り)を動かすこと」です。意外と疲れますが、上達への近道は発音練習を繰り返すという地味な努力の継続しかありません。
たとえば「light(光)とright(正しい・右)」「alive(生存して)とarrive(着く)」など、似ているようで正確にはまったく音の違う単語を、リズムよく繰り返し発音する方法などがあります。聞き分けと発音は密接に関わっているもの。単純な練習でも、継続することでスピーキング・リスニングの力は着実に伸びていきます。
完璧を求めすぎず、楽しく続けよう
英語教育に大切なこととして、第一にお子さまの気持ちを優先しましょう。正しい聞き分けや発音に気を取られて、パパママが細かく注意するのは避けること。子どもにしてみれば、勉強として英語に向き合うよりも「パパママが楽しそうだから真似をしたい」と思えたほうが、やる気につながります。英語の歌なども取り入れて、ぜひ親子で楽しみながら発音に慣れていきましょう。
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