フランス人の子育てに欠かせないドゥドゥとは?
フランスでほとんどの子どもが持っていて、子育てのキーワードともいえる「Doudou(ドゥドゥ)」。
日本語でひと言に訳すのは難しいのですが、できるだけ簡単に説明すると「子どもが持っていると安心できるお気に入りのぬいぐるみ」のことです。
子どもにとって安心できる、いわばママやパパの代わりのような存在です。そのため、遊ぶときや出かけるとき、寝るときなど、四六時中、肌身離さず持っています。
ぬいぐるみだけでなく、衣類やタオルの場合も
実はドゥドゥ、必ずしもぬいぐるみである必要はありません。フランスの辞書には、「小さい子どもが遊ぶときや寝るときの『連れ・仲間』として自身で選ぶ(通常柔らかい生地などの)モノ」と説明されています。
モノであればいいので、ぬいぐるみ以外にも、お母さんの衣類やタオル、ガーゼ、枕などさまざまなケースがありです。筆者は以前、フランスの公園でシーツと一緒に遊ぶ子どもを見かけたことがあったのですが、そのシーツが実はその子のドゥドゥだったということもありました。
子どもによってはドゥドゥをひとつでなく複数持っていることもあり、日替わりで違うドゥドゥを持ってくる子もいます。
保育園、幼稚園では必須の持ち物
フランスの子どもに欠かせないドゥドゥ、実は保育園や幼稚園でも必須の持ち物です。もちろん、ベビーシッターに預けるときも、ドゥドゥを持っていきます。朝晩の送り迎えの時には、「ドゥドゥはちゃんと持ってきましたか?」と言った会話もよく交わされます。万が一、ドゥドゥを忘れたという時は大変!場合によっては仕事を遅刻してでも家に取りに帰ったりするケースもあるぐらい、大事な存在なのです。
子どもを保育園やシッターさんに預けるケースが多いフランス。パパママと離れている間も子どもが安心できるよう、ドゥドゥをお供させているのです。
どうしてドゥドゥを持たせるの?
ではなぜ、フランスでは子どもにドゥドゥを持たせるのでしょう?
フランスでは心理学者がドゥドゥを「objet transitionnel(過渡期の対象)」と位置付けています。子どもが親以外の他者の存在を認識しはじめる生後8カ月頃から、親がいない場でも親代わりとしてドゥドゥを持たせることで子どもの自立を促すとされています。
「フランスの子どもはひとりで寝る」といわれますが、正確には「ドゥドゥと一緒に」で寝ています。ひとりで寝るときでもドゥドゥがいれば安心なのです。
フランスでは、子どもはひとりで寝る、卒乳が早い、すぐ働きに出るママが多い、託児所を利用するケースも多い、などの社会的・文化的な理由もあって、ドゥドゥがよく活用されています。子どもにとっては親の愛情代わりともいえるでしょう。
ドゥドゥとはいつまで一緒に過ごす?
子どもの大切なパートナーでもあるドゥドゥ、一体何歳ぐらいまで持つのでしょうか?
ドゥドゥを「いつ」卒業すべきかというのは決まっておらず、その子がドゥドゥを必要としなくなったときが、卒業するタイミングだそうです。決めるのは親ではなく、あくまでもその子自分自身。
平均的には小学校に入る前、6歳ぐらいまでにドゥドゥは要らなくなるという子が多いですが、10歳ぐらいまで必要とする子もいます。
親にとっては頼れる育児のパートナー
以前、フランスの公園で必死の形相で何かを探しているママを見かけたことがありました。「もしかして子どものドゥドゥを探しているのかな?」と思って聞いてみたら大当たり。そのママは無事に見つけることができましたが、なくしたあかつきには子どもが泣き叫んで手に負えなくなる状況になることも……。匂いや手触りも含めてずっと愛着を持ってきたドゥドゥから、別の新しいドゥドゥに変えるのは簡単なことではありません。万が一、なくしてしまったときに備えて、同じドゥドゥを2、3個買い揃えている家庭も少なくないです。
フランスのドゥドゥは「子どものため」の存在ではありますが、ひとりで寝るのを助けたり、遊び相手だったりと、万能な存在。子育てをより円滑にラクにするという意味で、親にとってもかなり役立つ育児のパートナーといえます。
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