2018年2月27日 公開

子どもの肥満率ワースト1のメキシコで考える肥満防止対策!

メキシコは、子どもの肥満率が世界でワースト1。筆者がメキシコで出産・育児をするにあたって、まず心配になったのが「どうやったら子どもの肥満を防げるのか」でした。フルタイムで働いているため子どもの食生活をコントロールするのもなかなか難しいし…と心配していた体験をお届けします。

メキシコの社会問題・肥満

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2013年国連の調査で肥満率ワースト1になって以降、そのトップ街道をひた走るのがメキシコです。昨年の調査では、僅差でアメリカにそのワースト1位の座を明け渡したとはいえ、子どもの肥満率では相変わらずトップ。

すっかり「肥満」のイメージがついてしまったメキシコ人ですが、その歴史はそう古いものではありません。

現代のメキシコで肥満が蔓延する原因となったのが、1980年代に隣国アメリカより押し寄せてきた大量のインスタント食品やスナック菓子といわれています。また、メキシコはコカコーラの消費量が世界一でもあるのですが、そういった清涼飲料水がミネラルウォーターより安価にしかも大容量で手に入ることも、特に低所得者層で肥満率を高めている要因と考えられています。

治安が悪いと肥満児が増える?

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また、残念ながら特にメキシコシティなどの都市部においては、治安の悪さも肥満増加の一因を担っている、と感じます。

治安と肥満、一見つながりがないように見えますが、

・子どもを自由に公園や外で遊ばせられない
・子どもを連れて公共交通に乗らないため、車生活中心。歩くことがなくなる

ということなのです。

こういった運動不足解消も兼ねてか近年、大小さまざまなマラソン大会が毎週のように開催されており、老若男女が楽しめるブームとなっています。また、毎週日曜日の早朝から午後2時まで、メキシコシティの目抜き通りを歩行者天国として開放。親子でサイクリングやローラーブレードを安心して楽しめるような環境作りもされています。

こちらはサファリパークで行われたマラソン大会。ママたちがベビーカーを押しながら参加できる大会など、バラエティ豊かです。
via Photo by Y. N.

禁止するのではなく、ルール作りを

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さて、筆者の娘が離乳食から幼児食に変わった時期のこと。かかりつけの小児科医より「スナック菓子をあげるならリング型のものを。万が一喉に詰まった場合でも、窒息が防げるから」と言われ「そんなものこんな小さな子どもにあげません!」と息巻いたことを覚えています。

が、彼女がその際指摘したことは「保育園や友達同士でパーティーすることなんて、これから数え切れないくらいあるわよ。他の子どもたちが食べているのを前にして、全部のお菓子を禁止するなんて無理。それなら、パーティーの時のみといったルールを決めて、食べ続ける癖を付けさせないようにすることのほうが合理的」。これはメキシコで子育てする上で、真実をついていると思います。

特に保育園や幼稚園ではお誕生日の際、親がケーキやお菓子の詰め合わせを差し入れして、クラスメイトや多いときには園全員に配ることが習慣となっています。

みんなが食べている美味しそうなものを、1人だけ我慢させる…そんなことはできませんよね?

果物で季節を感じながら肥満防止を

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そこで、筆者はパーティーやピクニック、旅行などといったイベント時のみ、いくらお菓子を食べていても注意することはしていません。

ただし、幼稚園のおやつ(娘を通わせている幼稚園では朝食と昼食は園で準備するため、おやつのみ用意)や家で間食する場合は、フルーツやカット野菜などを中心に。

当サイトでの拙記事「マンゴーからはじめる?フルーツ盛りだくさんなメキシコの離乳食事情」でもご紹介したように、豊富で安価なフルーツが手に入る国ですので、毎週末の青空市場でたくさんフルーツを買い込み、翌週のおやつとして持たせることにしています。
ちなみに、本日我が家にあるフルーツはというと、そろそろ時期が終わるミカン、店頭に並び始めたマンゴーやグアバ、それからイチジクなどの初物。さらには娘の大好きなイチゴに「常備果物」ともいうべきリンゴとバナナです。

店頭に並んだフルーツを見て、子どもと一緒に自然と季節の移り変わりを感じることができるのもメリットではないでしょうか?

常備果物も形を変えて活用

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リンゴとバナナは日本でもお手ごろ価格で手に入りやすい果物かと思います。筆者も娘に食べさせることが多いこの2大常備果物ですが、そのまま与えるだけではすぐに飽きてしまうもの。

例えば、バナナはヨーグルトやサワークリームであえるだけで、見た目も味も変わります。また、リンゴはレンジで加熱してちょっとバターを加えるだけでも子どもの喜ぶおやつになりますよね。

リンゴは加熱した方が、カリウムやビタミンCなどの栄養価がアップする、ともいわれています。

国を挙げての意識改革に期待!

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フードコートに行けば、おじいちゃんおばあちゃんまでLサイズのドリンク片手にピザにかぶりついているようなメキシコですが、社会保険庁では2014年より「チェックして、測って、動いて! 予防が大事」といったキャンペーンを続けており、また子どもの肥満防止むけのTVCMを発信したりと、それなりに危機感を抱いて国民の意識改革を狙っているようです。

こういったお国柄ではあまり厳しくするのも、かえって親と子ども双方の負担にもなりかねない、とも感じますが、意識改革はまず家庭から。メキシコの豊かな自然の恵みをうまく利用し、マラソン大会などのイベントを楽しみつつ肥満を防いでいきたいと思います。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

Mariposa Torres Mariposa Torres  メキシコシティ在住9年目。メキシコ人の夫、娘、2匹の猫と一緒に暮らしています。現地日本語・スペイン語フリーペーパーの編集長を経て、現在は企業勤めのかたわら、フリーライター。タコスやテキーラ、太陽サンサン…でも世界でもっとも危険な国!?というメキシコのステレオタイプなイメージを変える、そんな楽しい現地レポートをお届けします。