2019年3月13日 公開

フランス語で100まで数えるのはかなり難しいって本当!?

少しでもフランス語を学んだことがある人なら、「フランス語は複雑」という印象がある方も多いかもしれません。そんなフランス語の中でも、実はとても厄介なのが「数字の数え方」。フランスの「数字の数え方」や、子どもたちの「算数の好き嫌い」との関係性についてご紹介します。

フランス語では100まで数えるだけでもかなり難しい

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みなさん、フランス語についてどんな印象を持ってますか?「発音がキレイ」「なんかオシャレ」「英語と比べてとても難しそう」……など、さまざま印象があるでしょう。

「名詞に女性形と男性形がある」、「動詞の活用が複雑」、「『R』の発音が難しい」など、日本人には確かに難しい点がいくつかあります。中でも厄介なものの一つが「数字の数え方」なのです。

日本語だと、「1から10」の数字をベースとして、「20」までは、「10」と「1」で「じゅういち」、「10」と「2」で「じゅうに」というふうに数えますよね。100までの数字は、たとえば「2」が「10」個で「にじゅう」、「3」が「10」個で「さんじゅう」です。

ところがフランス語で数を数える方法は、日本語のように「数字を組み合わせていく」直感的な方法とはまったく違うのです。

フランス語で数えるには?

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それでは、フランス語の数え方を一緒に見ていきましょう!
実は60まで数えるのは、そこまで難しくありません。フランス語は英語とも数え方が若干異なりますが、英語を学んだことのある方ならきっと理解しやすいはず。

1から10までは、
アン(1)、ドゥ(2)、トロワ(3)、カートル(4)、サンク(5)、シス(6)、セット(7)、ユィット(8)、ヌフ(9)、ディス(10)と数えます。

11から16までは、
オーンズ(11)、ドゥーズ(12)、トレーズ(13)、カートルズ(14)、カーンズ(15)、セーズ(16)と、主に語尾が変化します。

しかし17からは、
ディセット(17)、ディズユィット(18)、ディズヌフ(19)、
と10に一桁の位の数を足します。

続いて10の位は20から60まで、
ヴァン(20)、トラント(30)、カラント(40)、サンカント(50)、ソワサント(60)、
と続きます。

例えば、45は、「カラント(40)」と「サンク(5)」を組み合わせて「カラントサンク(40 + 5)」となります。日本語で「よんじゅうご(45)」というのと同じ発想です。

難しくなる!70からの数え方

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続いて70です。
フランス語で70は「ソワサント(60)」+「ディス(10)」になって、「ソワサントディス(70)」となります。日本語に置き換えて表現すると「ろくじゅうじゅう(60 + 10)」となります。英語の「セブンティ(Seventy)」というようには数えないのです。

例えば、73だと、「60 + 13」となり、「ソワサント(60)」+「トレーズ(13)」で「ソワサントトレーズ」となります。

さらに厄介な80からの数え方

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ひょっとして、フランスでは「60進法」の数え方を採用しているのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。80の場合、「ソワサント(60)」プラス「ヴァン(20)」で「ソワサントヴァン(60 + 20)」となると予想できますよね。

しかし、実はそうはならないのです……。

フランス語で80は、なんと「カートルヴァン(4 × 20)」、つまり「カートル(4)」×「ヴァン(20)」で表現されるんです。

90は、「カートル(4)」×「ヴァン(20)」+「ディス(10)」で「カートルヴァンディス(4 × 20 + 10)」となります。

100は「サン」といいます。

フランス語では、70から数字の数え方が難しく、特に80から99までは日本語の数字の数え方とはかけ離れてるのです。この数字の数え方の難解さは、フランス語を学ぶ人が挫折してしまう原因の一つかもしれません。

現地の子どもたちはどう覚えている?

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現地で子どもたちはどのように習得しているのでしょうか?
学校の先生など教える人によってさまざまですが、たとえば上記の画像のように、
・75は「ソワサントキャンズ」つまり「ソワサント(60)」プラス「キャンズ(15)」だから、「60 + 15」
・83は「キャトルヴァントロワ」つまり「キャトル(4)」つの「ヴァン(20)」プラス「トロワ(3)」だから、「20 + 20 + 20 + 20 + 3」
と教えられることもあります。

フランスならではの数字の数え方による、独特な説明方法といえますよね。

数え方が難しいと算数嫌いになる?

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日本人から見ると「こんなややこしい数え方をしているフランス人は、算数が苦手なのでは?」と思うかもしれませんが、もちろん算数が得意なフランス人もいます。算数が得意になるかどうかは、実際のところ人それぞれです。

世界的に著名な数学者の中には、もちろんフランス人もいます。名言「人間は考える葦である」を残した数学者ブレーズ・パスカルはフランス人です。その他にも、熱伝導の法則で有名な数学者・物理学者ジョゼフ・フーリエもまたフランス人です。数え方の難解さは、数学的な思考力には影響しないようです。

フランスで人気!塗り絵を使った数字学習法

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フランスでは、コロリアージュ(塗り絵)が人気です。算数でも子どもが楽しんで習得できるように、コロリアージュを使った教材が多く見受けられます。

該当する数字がある場所を指定の色で塗るもの、数式の答えを導き出してから塗るタイプなど、いろいろな種類があります。数え方が難しくても、こうした楽しく数を学べる教材があることで、子どもたちの興味をひいているのかもしれません。

国が変われば、数え方も変わる

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日本の数え方に慣れていると、フランスでは何でこんなにややこしい数え方をするんだろう?と思ってしまいます。しかし、実際フランス人たちはどう思っているかというと、この数え方で慣れているようで、特に困っているようには見えません。

お国が変われば、数え方も教え方も変わります。

お子さまと算数を勉強するときに、「こういう数え方もあるんだよ〜」と、話のネタにしてみていただくのも良さそうですね。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

早野沙織 早野沙織  在仏3年目、フランス人旦那と二児(2歳と0歳男児)とアルプス地方グルノーブル市在住のママライター。慶応義塾大学法学部卒業。現地から日本ではあまり知られていないフランスの地方・育児事情をお届けします!