2018年6月4日 公開

【フランスの国語教育事情】母国語で落第もあるってホント⁉

ひらがな、カタカナ、漢字と3種類の文字を使い分ける日本語は難しいとされていますが、フランス語も女性名詞・男性名詞があり、また動詞の活用がたくさんあったりと、難易度の高い言語のひとつ。そんなフランスの、初等教育を中心とした国語教育事情についてご紹介します。

国語は文法と綴りに重点を

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フランスの初等教育では、「正しく」書けることに重点が置かれ、国語の時間の約7割が文法や綴り、語彙などの学習にあてられています。

中でも特徴的なのが「ディクテ(dictée)」と呼ばれる「書き取り」。先生が読み上げる文学テキストを生徒が一斉に書き取るというスタイルの授業です。「書き取りだけだったら簡単そうじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はフランス語ではこれがかなり難しいのです。

フランス語を少しでも学ばれたことのある方ならよくわかるかもしれませんが、同じ名詞で発音が同じでも女性名詞・男性名詞で綴りが異なったり、動詞の活用が主語によって変わったり、特有のアクサン(綴り字)記号があったり……と、正しいフランス語を書くのはネイティブでも至難の業。

「ディクテ(dictée)」の結果を見るだけで、どれだけのフランス語能力を備えているかが一目瞭然というわけです。

国語の授業は、ほとんどが午前中

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フランスでは「言葉はすべての教科・学問の基礎である」との教育理念のもと、初等教育において国語は算数と並んで2大重点教科とされています。そのため、文法や読み書きなどの国語の授業は、1日の中で最も集中力が高まるとされる午前中に行うようにと教育省からも指導・実施されているのです。

授業時間が午前中とされていることからも、国語に対する、力の入れようが伺えますね。

母国語で落第もある

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フランスでは日本と比べると落第も多いです。

日本では「落第は汚点・恥」だと思う親御さんが多いのではないかと思います。しかしフランスでは、「きちんと理解できてないのに上の学年に進ませる方がかわいそうだ」という意見が多く、落第に対して日本ほどマイナスのイメージはありません。

初等教育でも生徒を落第させることもあり、母国語であるフランス語でも落第する子もいます。

国語教育徹底のため、義務教育を3歳から実施⁉

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マクロン大統領は2018年3月27日の演説にて、義務教育は現状6歳からとなっているのを、3歳から実施する方針を明らかにしました。早ければ2019年度から実施される計画です。日本のメディアでも取り上げられ、話題になったようですね。

「教育格差をなくすことを目標とし、貧困地域などで小学校の授業についていけず落第する生徒が多くいる現状を解決するために、特に国語教育に力を入れる」といったことからだそう。

国を挙げて、さらなる国語教育の徹底を目指していることが伺えますね。

最後に

日本の大学入学試験に当たるフランスのバカロレア試験では、国語に当たるフランス語試験は筆記に加え「口述」試験もあります。

議論好きなフランス人。哲学や政治について、ワインを片手に熱弁を振るう姿を見て、「背景にあるのは初等教育からの厳しい国語教育の成果かな」と思えてくることも……。

しかし、厳しい教育の元、正確なフランス語を上手に操る人が多くいる一方で、すべての地域で皆にフランス語教育が行き届いているわけではないと思わせる現状もあります。フランスの中学校に務める親戚の話では、中学生でも簡単な文法を間違える子が多々いると嘆いていました。移民も多いお国柄で、国内におけるフランス語の学力の差は、できる子とできない子でかなりの開きがあるのも事実のようです。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

早野沙織 早野沙織  在仏3年目、フランス人旦那と二児(2歳と0歳男児)とアルプス地方グルノーブル市在住のママライター。慶応義塾大学法学部卒業。現地から日本ではあまり知られていないフランスの地方・育児事情をお届けします!