2017年5月10日 公開

子どもの絵の発達過程を知る!1~2歳で大人が気を付けるべきこと

著名なイラストレーター・金斗鉉さんに、子どもの絵について伺ったインタビューを3回に分けてお届けします。第1回目は1~2歳の子どもがお絵かきに興味を持ちはじめた時、周囲の大人が気を付けるべきことはなにかということ。子どもの絵の発達過程について理解しておいた方がいいことについてお聞きしました。

年齢とともに変化する子どもの絵の発育過程

子どもが絵を描くのは、絵が上手になるためでも、手先を器用にするためでもありません。自分で感じて、考えて、楽しむという行為のためです。

そして、それが想像力や創造力、自発性、美しいものや空間感覚を養うことにつながります。それを理解せずに、大人が子どもの絵を指導することはさけたいもの。

子どもの絵は年齢とともに、その意味や目的が変化します。まずは、子どもの絵の発達過程を理解することが大切です。

殴り書きからはじまる【1歳〜】

1歳児の絵

via photo by author
赤ちゃんのときのお絵描きは、正確にいうと絵を描いているわけではありません。何かを表現しているわけではなく、【手の運動】をしているのです。

まず手首が動けば点が描けます。そして、次に横線、縦線が引けるようになります。次に、ひじが動くようになると、半円の往復線ができるように。肩が動くようになると、グルグルが描けるようになります。こうやって、手の動く範囲が広がるともに描ける線が増えていくのです。

この時期は殴り描きの期間でもあります。充分に殴り描きさせることで、手の動きがどんどんスムーズにもなります。おもいっきり殴り描きをさせてあげましょう。

手の動きが目で追える【2歳〜】

2歳児の絵

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2歳頃になると、手の動きを目で追えるようになり、はじめとおわりのある線が描けるようになります。ちゃんと、閉じたマルが描けるようになるのもこのころの子どもが多いです。

そして、最初のころに比べると、かなりしっかりとした線が描けるようになっているのに気付くはずです。またこのころから、描いたものに後から意味づけをするようになります。

2歳ぐらいから、絵に後から意味づけするように。
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「これはママ」
「これはブーブー」
「これはワンワン」

それが、ただのマルにしか見えないとしても、否定せずに子どもの話に耳を傾けてあげましょう。

周囲の大人が気を付けたいこと

Alena Ozerova / Shutterstock.com
この時期、パパママやまわりの大人が気を付けたいことは、形を教えないこと、描いて見せないことです。

殴り描きは、発達過程で必要な段階。子どもは、手を動かすという行為自体を楽しんでいるのです。

殴り描きを充分にすることで、しっかりとした線が描けるようになります。1〜2歳のころのお絵描きは、何かを表現するというよりは「表出(ひょうしゅつ)」なのです。

それを飛び越えて大人が手を入れることは、子どもの自信を失くすことにもつながります。一度、自信を失くしてしまうと、絵を描く楽しさを取り戻すのは大変です。

とにかく、やりたいように自由に描かせよう

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無理やりお絵かきを強制する必要はまったくありません。でも、子どもがクレヨンに興味を持ったら、描きたいようにやりたいようにやらせること。子どもが楽しんでお絵かきをしているのであれば、周囲の大人はそっと見守ってあげましょう。

2歳くらいになって、子どもが描いたものに後づけで意味をつけるようになったら、子どもの話に耳を傾けてください。上手下手を気にする必要はありません。子どもが自由にお絵かきを楽しめる環境づくりを心がけていきましょう。

次回は、3〜4歳の頃のお絵かきについて、発達過程と、周囲の大人が知っておくべきこと、心がけたいことについてお届けします。

金 斗鉉(きむ とうげん)プロフィール

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1953年、韓国ソウルに生まれる。18歳のときに日本に移住。広告代理店でグラフィックデザイナーを経て、フリーランス・イラストレーターに。

著書に『絵本イラストレーション入門』(新星出版社)、『最新イラスト・カットの辞典』(主婦の友社)、『水墨・墨彩画で風景を描く』(誠分堂新光社)、絵本に『ヌリマースペンキ店』(日本キリスト教団出版局)、『よるのおさんぽ』(講談社)、『かぐやひめ』(小学館)、『サンガイ ジウナコ ラギ』(ディヨの本)など多数。

個展は1983年から「渋谷パルコGALLERY VIEW」「銀座 ギャラリー21+葉」「吉祥寺 伊勢丹」「西武 銀糸町」「西武 三軒茶屋」「京都市国際交流会館」「ギャラリー・エフ」「オキュルス」など多数。日本各地の博物館、展示館など約70カ所のイラストレーションを制作。ライフワークとして「絵が描けない人のためのワークショップ」「幼稚園の先生とお母さんのための絵の教室」を開き、また、2008年から毎年ネパールの子どもたちへの絵の指導をしている。

日本図書設計家協会会員。浦安市在住。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

宮本ちか子 宮本ちか子  フリーランスエディター、ライター&コーディネイター。ネパールのポカラ在住。広島県の瀬戸内海の島育ち。東京での会社員時代は、マーケティング会社の編集部でマーケティング情報誌や、社内報、会社案内などの編集、ライティングを担当。その後ネパールのポカラにて宿を15年間経営。ネパール人夫と娘の3人家族。現在は、フリーランスライター、仕入れサポート、プライベートガイドとして活動中です。