2017年8月19日 公開

子どもから大人までフランスで【コロリアージュ】が人気の理由

フランス版大人のぬりえとして紹介されることの多い【コロリアージュ】ですが、実際は子どもから大人まで親しまれています。フランス語の“Coloriage(コロリアージュ)”は英語のカラーリングにあたる言葉。子育て大国フランスで、子どもから大人まで人気の理由をご紹介します。

コロリアージュはとっても経済的で便利!?

フランスの本屋の子ども向けコーナーでは、「18カ月〜」「2歳〜」などと年齢別のコロリアージュの本が豊富に販売されています。
タイトル:Mes premiers coloriages Maison : Dès 18 mois
著者:Grenouille éditions
出版社:Grenouille éditions
合理的かつ倹約家の多いフランス人。色鉛筆(クレヨンやペンなどでももちろん可能)とコロリアージュの紙さえあればできてしまうことから、お金が比較的かからないのもあって、コロリアージュは大人気。

フランスの本屋さんには、幅広い年齢に対応した沢山のコロリアージュの本が並んでいます。また、もっとお金をかけずに楽しみたいという人には、ネットから無料ダウンロードできるコロリアージュも豊富にあります。

日本では「塗り絵」というとキャラクターのものばかりが目に付きますが、フランスではそれぞれの子どもの興味関心にそって選べるように、たくさんの種類が揃っているので、さまざまな子どもが楽しめるようになっています。

Lerha / Shutterstock.com コロリアージュを通じて、世界中の異なる文化のデザインや色彩も楽しめます。

場所を選ばず、いつでもできる

ESB Professional / Shutterstock.com
野外で、旅行先で、電車の中で、レストランで、友人・知人宅で……。広いスペースや特別な道具を使わずにできるコロリアージュは、場所を選びません。

また、コロリアージュをするのに必要な時間も、数分でも可能ですし、時間をかけてすることも可能です。スキマ時間にちょっとしてもよいですし、お天気が雨で外に出かけられない日の室内アクティビティとしても楽しめます。

場所、時間に融通がきく点が、特に忙しいパパママに重宝されています。

子どもの成長に欠かせない、さまざまな効用

ZouZou / Shutterstock.com
「コロリアージュは色を塗るだけの【ただの遊び】でしょう?」「絵や形を限定してしまって、想像力を伸ばすのには良くないのでは?」と思われている方もいるかもしれませんが、実際は子どものさまざまな能力を伸ばすのにもってこいのアートなんです。

ほかのアートと同様に、想像力や集中力を養うだけでなく、子どもの運動上の発達にも欠かせません。

限られた枠の中を好きな色で埋める行為から、色を選ぶ能力やセンスを養えます。また、色鉛筆やクレヨンを手に持って色を塗るという行為から、手先に集中し、力を入れるという繊細な運動能力が発達します。

そのほかにも、空間と境界について把握する感覚を発達させることができます。境界線をはみ出さないように抑制しつつ色を塗るという動作が、文字を書く行為、文字を読む行為、さらに音楽を奏でる基礎となる力を養うことにつながるとされています。

一見単純に思えるコロリアージュには、いろいろな面で子どもの発達を助ける多くの仕掛けがつまっているんです。

SoulQuess / Shutterstock.com

パパママも楽しめる高度な作品もたくさん!

Thehelena / Shutterstock.com
日本でも「大人の塗り絵」がはやっているようですが、フランスでも、コロリアージュを楽しんでいるのは子どもだけではありません。パパママも積極的に取り組んでいます。というのも、コロリアージュはアートセラピーのひとつともされていて、アンチストレスの効果があるといわれているという側面もあるからです。

芸術大国フランスだけあって、元々の線画が美しく、センスの良いものもたくさんあり、子ども以上に大人にも人気。フランスで書店を訪れると、子ども用以上に大人用のコロリアージュの本が豊富に揃っていたりするわけです。

ABO PHOTOGRAPHY / Shutterstock.com
子育て疲れやストレス解消にもなる【コロリアージュ】。子どもと一緒に楽しむのはもちろん、3分ぐらいの短時間でもできてしまうので、ちょっとしたスキマ時間にやっている方も多いですよ。

いろいろな意味で、コロリアージュは子育て中のパパママの「救世主」とまでいえるかもしれませんね。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

早野沙織 早野沙織  在仏3年目、フランス人旦那と二児(2歳と0歳男児)とアルプス地方グルノーブル市在住のママライター。慶応義塾大学法学部卒業。現地から日本ではあまり知られていないフランスの地方・育児事情をお届けします!