2018年6月27日 公開

「子どもと富士登山」安全に楽しく登るための準備と注意点

国内外から、毎年25万人超の登山者が訪れる富士山。子どもと一緒に富士登山に挑戦してみたいパパママも多いのではないでしょうか。しかし富士山は大人でも気軽には登れない山。子どもと一緒に登る場合、入念な事前準備が必須です。余裕を持って富士登山を安全に楽しみましょう。

親子で富士登山「挑戦するなら何歳から?」

世界文化遺産にも登録されている日本の名峰「富士山」。海外からの富士登山者も多く、登山シーズン中はかなり混雑します。

多くの人から親しまれ、登頂成功者が老若男女問わずいる富士山は名実共に「日本一の山」といえるでしょう。

高さも3,776mと日本一。軽装で気軽に登れる山とはいえませんが、体力があり、準備をしっかりするのであれば小学校低学年でも挑戦できる山です。

おすすめは体力・知力共に安心な10歳くらいから

子どもが長丁場になる富士登山を安全に楽しむには、以下の2点が大切です。

・疲れていても自制できる(泣かない、かんしゃくを起こさない)
・体調不良をしっかり伝えられる

多くの登山者で混み合う富士登山。周囲に迷惑をかけないことも登山を楽しむポイントです。

小学校中学年以降、10歳くらいになれば自制心も育ち、体力もかなりついているはず。親の負担も少なく、登山そのものを楽しめるでしょう。

開山時期とベストシーズン

富士山の開山時期は、約2カ月です。混雑するのは、この短期間に登山者が集中してしまうため。

4つの主要登山ルートと開山時期は、例年、以下の通りですが、天候などによって前後することもあります。その都度、ルートごとに開山時期を確認してからおでかけください。

・吉田ルート  7月1日~9月10日 
・須走ルート   7月10日~9月10日 
・御殿場ルート 7月10日~9月10日 
・富士宮ルート 7月10日~9月10日 

この期間中でもベストシーズンは【梅雨明け後~9月上旬】です。

梅雨明け前ですと、天候が変わりやすく気温の変化も激しくなりがちです。子どもを連れての登山は、梅雨明け後の天候の安定した日を選びたいですね。

富士登山の準備と持ち物

親子で富士登頂を成功させるなら、体力づくり、余裕を持ったスケジュール、過不足のない持ち物
がカギとなります。以下で詳しくご紹介しましょう。

低山登山・ハイキングで体力づくり

最低でも8時間以上歩き続けることになる富士登山。体力・運動神経に自信のある子でも、”いきなり富士山”は、かなり無謀です。

歩き慣れていない凹凸のある道を、長時間歩くトレーニングを事前にしておくことが必要になります。

まずはお住まいの地域近郊の低山に挑戦してみてください。整備されていない、傾斜のある道のハイキングを頻繁に行うのも良いでしょう。

子どもは”体力の温存”が、なかなかできないものです。山道でも元気よくかけ登ってしまいます。富士登山では、ゆっくり確実に登り続けることが登頂成功のコツ。長く歩き続ける練習で「ゆっくりでもかなり体力を使う」ことを実感させましょう。

おすすめは1泊する”ゆったりスケジュール”

主要登山ルート4つ共に、往復8~9時間(大人・休憩含まず)で終えることも可能な富士登山。富士山を日帰りで登る登山者が多いのも事実です。真夜中も登り続けて、ご来光を見る時短スケジュールも人気があります。

ただし、子どもと一緒の場合の登山スケジュールは、安全第一が鉄則。気温が安定した日中に、時間をかけて登ることで、親も余裕を持って子どもの様子を見られるはずです。

子どもは登山口までの移動でも疲労しています。6合目、7合目の比較的に混雑の少ない山小屋で、1泊しましょう。夜間登山者で混み合う山小屋では、子どもが眠れず体力を回復しづらいかもしれません。事前に調べて、しっかり休める山小屋を選びたいものです。

富士登山の持ち物

5合目で暑さを感じていても、7合目では寒さに震えてしまう……そんな富士登山は気温変化へ対応できる服装の準備が重要です。また、怪我・高山病などで体調を崩した際の対処や、その後に医療機関にかかることも想定した過不足のない持ち物準備をしましょう。

・カロリー補給できる食べ物
・水筒
・健康保険証
・時計
・スマホ・携帯電話
・現金(トイレ用に100円玉を準備)
・防寒着(専用ウェアがおすすめ)
・保温性の高い下着
・ネックウォーマー(標高が上がるにつれて首元が冷えます)
・雨具(レインウェア・カッパ)
・登山用靴下
・帽子
・登山用サングラス
・登山用手袋
・登山靴(トレッキングシューズ・足首まで覆うもの)
・登山用レッグカバー・スパッツ
・登山リュック
・リュックカバー
・ヘッドライトと予備電池
・タオル
・ティッシュ
・洗面用具
・ビニール袋
・日焼け止めクリーム

【その他あっても良いもの】
・耳栓(山小屋でよく眠るために)
・酸素缶(標高が高くなってきたときの安心材料)
・カイロ
・サバイバルシート

子どものペースで登れるルートは?

4つの登山ルートのうち、初心者におすすめとされているのが吉田ルートと富士宮ルートです。子連れで行くのであれば、このどちらかのルートが安心。救護所があり、山小屋も充実しています。

外国人登山者も多く、もっとも人気なルートは吉田ルートです。人が多い分、子連れも多いため心強さはあるでしょう。ただ休日の混雑は厳しく、日によっては駐車場から登山口にたどり着くまでに1時間以上かかってしまうことも。

富士宮ルートは登山距離が最短で、混雑も少なめです。往復が同じ道にはなりますが、小学生の体力に合わせてゆっくり登るにはおすすめのルートです。

難所もある須走ルート・ロングコースと呼ばれる御殿場コースは、上級者向けなため、おすすめしません。

楽しく登るための注意点

疲れてくると親子共にイライラして、コミュニケーションも粗雑になりがちです。子どもの様子を見ながら、最低でも1時間に1回は休憩をとりましょう。疲れているようであれば30分ごとに休憩してもOK。ゆっくり腰をおろして、水分・栄養補給をして言葉を交わしましょう。

6合目以降、高山病による頭痛・吐き気も起こり得ます。酸素不足・水分不足は高山病の原因となります。

少しずつ歩き、体を薄い酸素濃度に慣れさせることや、こまめに水分補給をして、しっかりトイレにも行くことを心がけ、高山病を防ぎましょう。

無理せずのんびり子どものペースで

子どもが途中で登山を止めたがったら、体調・精神面の様子をよく見て「登山続行」か「下山」かを判断します。

明らかな体調不良はもちろん、精神面で限界を迎えているようであれば下山しましょう。富士登山の楽しい思い出を残すことと、登山そのものに苦手意識を持たせないためにも積極的な下山も選択肢に入れます。

富士登山は登頂成功しなくても得られるものがたくさんあります。忍耐力・自然を愛でる気持ち・他の人とのふれあい・親子で協力すること……そして「悔しいけれど自分の体を第一に考えて挑戦を止める勇気」も、今後の人生の大きな糧となるはずです。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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aotanaoao aotanaoao  小学1年生の娘を育てる兼業主婦です。遊びながら知育できることを日々模索中。 英会話教材、学習テキストを使ってマイペースで家庭学習を楽しんでいます。