2016年6月11日 公開

グローバル社会の必須知識!?イスラム教の「ラマダン」とは

世界三大宗教のひとつイスラム教。「イスラム教ってなんだかよくわからない……」と不安になる前に、イスラム教の信仰や習慣について簡単な理解から始めてみてはいかがでしょうか? 今回はイスラム教独特の戒律であるラマダンについてご紹介します。

世界第2位の信徒数!イスラム教とは?

信徒数16億人とキリスト教に次ぐ規模を誇るイスラム教は、7世紀ころにアラビアのメッカで生まれました。

預言者ムハンマドが唯一神アッラーから受けた啓示を記録した「コーラン」を聖典として崇拝します。

アッラー・天使・啓典・預言者・終末と来世・天命を信じる「六信」、信仰告白・礼拝・喜捨・断食・巡礼を行う「五行」。これら六信五行がイスラム教徒の行動すべてを規律しています。

水と食を断ち、魂をみがく「ラマダン」

ラマダンとは、イスラム暦の9番目の月のこと。この月に預言者ムハンマドが神の啓示(コーラン)を受けたことから、イスラム教徒にとってはもっとも聖なる期間とされます。

ラマダン期間中は、日が昇っている間すべての飲食を断ちます。厳格な信徒は唾を飲み込むことも避けるそうです。そうした厳しい戒律を実行することで、イスラム教徒としての信仰と魂に磨きをかけます。

戒律にも例外あり?断食の程度もさまざま

断食中は、水を飲むことさえも禁じられます。もっとも小さな子どもや病気療養中の人、海外旅行に出かけている人は断食ができない場合も多いので、代償として貧しい人々への施しをすることで断食を免除されます。

また断食といっても24時間食を断つわけではなく、日が沈んでからの飲食は許されます。そのため我慢していた食欲が暴走して大食いしてしまい、ラマダン期間中に太ってしまう人もいるそうです。

アスリートには苦行!? ラマダンのきつい現実

via ameblo.jp
エジプト出身の力士、大砂嵐関は敬虔なイスラム教徒として有名です。

ラマダン期間中は、たとえ本場所があっても必ず断食をするので、関係者やファンを心配させるそうですよ。

もっとも当の大砂嵐関も、いかに戒律とはいえ、あまりのつらさに「水も飲めないので体に力が入らない……」と付き人に弱音を吐くこともあるとか。

ラマダン明けのお祭りは信徒最大のイベント!

ラマダン期間を終えると、3日間の「イード・アル=フィトル」が行われます。これはラマダンを無事に終えたことを祝うお祭りです。

食卓には豪華な料理がならび、女性たちも新しい衣装を新調するので、街中がとても明るく華やかになります。日本における「ハレの日」に通じる考え方だと言えそうですね。

異文化との共存に備えましょう

東京オリンピック、グローバル社会の進展。日本でも観光だけでなく労働や移住を目的とした外国人の流入は避けられません。

現在日本には10万人近いイスラム教徒がいます。国際テロ事件などで悪い意味での注目を浴びることの多いイスラム教徒ですが、大半は教義に忠実で控えめな生活を心がける穏やかな人々です。

異文化を恐れるのではなく、基本的な情報を仕入れ、理解することで平和的な共存も可能になるのではないでしょうか。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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takutaku takutaku  雑誌の編集を経験後、フリーライターとして活動しています。