2018年7月4日 公開

簡単な日時計の作り方|作る・観察・考察で考える力を伸ばそう

日時計は太陽が作る影の動きを利用して時間を計測します。作り方も簡単なため、短時間でオリジナル日時計が作れます。時間の経過が目で見てわかるため、時計の見方の練習にもおすすめ。太陽の軌跡・影の長さの変化が学べます。日時計の簡単な作り方と観察のポイントのご紹介です。

日時計のしくみ”1日が24時間な理由”

今から6,000年ほど前、古代エジプトで生まれた人類最初の時計「日時計」。元祖・日時計は地面に垂直に棒を立て、できた太陽の影の動きから時間を計測したシンプルな形態でした。

ポイントは「棒を地面に垂直に立てること=地球の自転軸と平行になること」です。平行になることで、太陽はこの棒の周りを一定の速度で1周します。できる影も同様です。

影が1周回り切る時間が1日=24時間。1時間あたり15度ずつ影が進みます。

影の長さ・太陽の軌跡を学ぶことで、午前と午後の区別・季節の移り変わりもわかるようになりました。「棒を地面に垂直に立てて、時間の推移を目で見る」ことを発見した、先人の知恵に頭が下がります。

現代ではコマ型(赤道型)・垂直型・水平型・半球面型・柱型等の様々な形態の日時計が見られます。公園・観光地などにある日時計は高いデザイン性・様式美を感じられるものも多いです。

自分で作って観察して「考える力」を伸ばす

日時計を作り、影を観察することは”考える力”を伸ばします。考える力とは集中力・忍耐力・観察力・考察力等の総合力です。考える力があれば、困難に直面した際、経験・知識を基に最善の答えを自分の頭で導き出せます。また、基礎学力+考える力があることで、学習面でも応用力アップにつながるでしょう。

今回ご紹介する日時計は、作り方も見方もとってもシンプル。小さな子どもでも飽きずに完成させられるはずです。はさみ・のり・定規・鉛筆等を使うことで、巧緻性が高められます。

親の声かけで「好奇心とモチベーションアップ」

【日時計を作る過程】
作業工程が少ない日時計作りも、幼児が行うと30分以上かかってしまう場合もあります。また「はさみが上手く使えない」「線がまっすぐ引けない」などの理由で、かんしゃくを起こしてしまうこともあるかもしれません。

子どものやる気が下がってきたら、「あと少しで上手にできそうだよ。一緒にやってみようか。」「ゆっくりやってみたら、きっとできるよ。」「大丈夫、上手にできているよ。」など励ましの声かけをするとモチベーションが上がります。

【観察する際に】
1時間ごと(あるいは数時間おき)に、外に出て日時計を観察するのは根気が必要です。最初の数時間は楽しくても、次第に飽きて面倒に感じてしまうかもしれません。

パパママの声かけと寄り添うことが観察の継続のポイントです。「さっきと比べて影はどうなっているかな?」「忘れずに見に行って、えらいね!」など好奇心・自尊心を高める声かけをしてあげましょう。できるだけ一緒に観察することで、子どもの興味が持続します。

”幼児におすすめ”簡単・すぐできる日時計

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空き箱を使った簡易型日時計です。方角を書いて、方位磁石に合わせて設置するだけで良いため幼児にも簡単に作れます。方角の読み方・方位磁石の見方も覚えられます。

材料

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・お菓子などの空き箱(30cm×20cmより大きいもの)
・空き箱を覆う紙(色紙・包装紙等)
・定規
・鉛筆(短いもの・先は尖らせない)
・サインペン
・セロファンテープ
・方位磁石

空き箱が無地であれば覆う紙はなくても大丈夫。5cm程度の棒状のものであれば鉛筆の代わりに使えます。

作り方

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1.空き箱にのりで紙を貼り付けます。
2.サインペンで上図のような十字を書き、東西南北を書き入れます。
3.十字の中心にテープで鉛筆を貼り付けます。
4.方位磁石を使い、日時計の北をしっかり合わせて設置します。

観察でわかる”太陽の動きと影の長さ”

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太陽の動きと影の長さの変化を学ぶには、1時間おきの観察がおすすめです。降水確率の低い晴天の日を選び観察しましょう。

【観察方法】
1.記録する時刻の影に定規を当ててなぞり、時間を記入します。
2.1時間おきに記録します。
3.午後5時くらいまで記録すると、太陽の動きと影の長さの変化がよくわかります。

この観察は数ヶ月ごとに記録してみましょう。同時刻の太陽の角度・影の長さを比べることで、季節の変化を目で確認できます。

時計の見方の練習ができる「コマ型日時計」

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コマ型日時計は文字通り「コマの様な形をした」日時計です。住んでいる場所の緯度に合わせた傾きにすることで、より正確な太陽の動き・影の長さを測定できます。

時計と文字盤を調整することで、本当の時計のように正確な時刻を表すことも可能です。

材料

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・段ボールなどの厚紙
・A4の紙(時刻版用)
・竹ひご
・定規
・鉛筆
・分度器
・水平器
・方位磁石
・カッター
・ガムテープ
・はさみ
・のり
・洗濯ばさみ

作り方

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1.半径7cmの円を描き、分度器で15度ずつ区切って線をひき時計の文字盤を作ります。

2.お住まいの場所の緯度を地図で調べ、その緯度を一辺の角度とする直角三角形の支えの展開図を作ります。(今回は関東地域の緯度35度に合わせました)

3.段ボールに2の展開図をのりで貼り、カッターで切り取ります。展開図の折り目部分をカッターでなぞり、折り曲げて支えを組み立てます。

4.段ボールを25cm×20cmで切ります。これを2枚作ります。

5.20cmの辺同士を、1cm程間隔を空けてガムテープでつなげます。

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6.文字盤を段ボールに貼り、中心に竹ひごを垂直に立てます。(尖った部分を下に向けて)竹ひごがずれないように裏表から洗濯ばさみで留めます。

7.支えの直角三角形の1番長い辺を底面にして文字盤に貼り付け、緯度に合わせた角度に固定します。

8.日時計を水平に置くために水平器を使います。水平に置けたら、文字盤面が北を向くように方位磁石で位置を調整します。

実際の時刻と照らし合わせて観察

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設置する場所の緯度に合わせた角度に傾けられていることで、文字盤は地球の地軸の傾きとほぼ同じ角度になります。そのことで、より正確な時刻がわかるようになります。

文字盤を貼り付けずに回るようにしておくと、日時計を時計として使うことも可能です。10時ぴったりなどのきりのよい時間に、影の位置と時計の文字盤を合わせて固定します。影が時計の針のようになって、時計の見方の練習にも使えます。

【観察方法】
1.記録する時刻の陰に定規を当ててなぞり、時間を記入します。
2.1時間おきに記録して太陽の動きと影の長さの変化を観察しましょう。
3.時計と見比べて、実際の時刻との差を確認します。

数ヶ月ごとに新しく文字盤を作って記録するのもおすすめです。

作る過程を楽しむことが大切

工作をするときは「知的好奇心を高めるため」「太陽の位置と影の長さの関係を学ぶため」……など、日時計を作り観察することで得られる”知育効果”に重点をおいてしまいがちです。

はさみ・のりを上手に使える、時間通りに観察記録をつけることも大切ですが、子どもの健やかな成長には「子どもが楽しむこと」がポイントです。絵を描いたり、飾り付けをして日時計を作ることを楽しみましょう。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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aotanaoao aotanaoao  小学1年生の娘を育てる兼業主婦です。遊びながら知育できることを日々模索中。 英会話教材、学習テキストを使ってマイペースで家庭学習を楽しんでいます。