習い事には資金計画も大切
進級して生活も落ち着いてくると「子どもの習い事を増やそうかしら?」と考えるパパママも多いのではないでしょうか。
習い事は、お子さまにとって新しい経験の機会となり、世界を広げてくれるもの。親としては応援してあげたいですが、一方で忘れてはならないのが、習い事を増やすと毎月決まった金額の支出が増えるということです。
はじめたはいいけれど、「高すぎて継続するのが困難になった」とか「一番お金が必要な大学受験期にお金が足りなくなった」という事態に陥るのは避けたいですよね。今後の家計にどのくらい影響してくるのかわからず、漠然とした不安から習い事を増やすことを躊躇してしまう方もいるでしょう。
ではいったい、いくらまでなら「安心できる習い事費」といえるのでしょうか。新しい習い事をはじめる前に気をつけたいお金のことをご紹介します。
「習い事費は年収の5%まで」は意味がない
習い事費の目安について、「子どもの習い事の費用は月収の5%まで」といわれることがあります。でも実は、これにはあまり意味がありません。
当然ですが、家計全体を見て、5%以上でもその他の支出が少なければもっと習い事を追加させることができますし、5%以下でもその他の支出が多ければ家計を圧迫します。
そのため、「5%か、じゃあもう超えているから習い事は増やせないわ」とあっさりあきらめるのはもったいないこと。反対に「5%以内で一般的なら、それをちょっと超えたくらいだから大丈夫。あとで節約すれば簡単に巻き返せるでしょ」と楽観しすぎるのも考えものです。
「年収の何%まで」と考えるのではなく、あくまでも「わが家の家計で支払うことが可能か」を考えましょう。
まずは家計の状況を確認しよう
まず確認しておきたいのは、現在の家計状況です。
現状の家計の内容はどのようになっていますか?毎月の給料から、しっかり毎月貯金ができているならひとつくらい習い事が増えてもきっと大丈夫。家計は正常に管理できています。
しかし、毎月の給料では足りないことがあり、児童手当を生活費にあてることがあったり、ボーナスでなんとか毎月の赤字を埋めるような家計になっている場合は要注意。習い事をひとつ追加することで、家計をさらなる赤字に転落させる危険性があります。
また、そもそも自分の家計が黒字なのか赤字なのかもよくわからない、という方も注意が必要です。せっかく習い事をはじめても、次第に家計が正常に回らなくなり、続けたいというお子さまを心から応援できなくなってしまうかもしれません。
そこでおすすめしたいのは、1カ月だけでも家計簿をつけ、現在の収支の状況を把握することです。そして、毎月の習い事費が増えても家計に影響しないか、検討してみてください。
習い事費は月謝ではなく年間費用で考えよう
次に考えたいのは、習い事の総費用についてです。
文科系・運動系を問わず、習い事の費用が「月謝だけで済む」というケースはごく稀。月謝4,000円だからと気軽にはじめた習い事でも、実は教材・備品・ユニフォームなどの購入費用や、発表会・合宿にかかる費用などがあり、年間で考えると「月10,000円の習い事と同じくらいかかっていた!」というのはよくあることです。
習い事をはじめる前には必ず月謝だけでなく、月謝以外にかかる諸経費を確認しましょう。そのとき、月々の経費だけでなく、年間でいくらかかるかという「年間費用」を調べることが大切です。そして、上記で検討した1カ月の家計を目安に、臨時支出なども想定しながら、ざっくりとでも習い事をはじめたときの年間の収支を検討してみましょう。
習い事をあきらめる前に家計のムダをチェック
年間の収支を確認した上で、「習い事費を増やしてもいいけど、貯金額は減ってしまうな」と思ったら、他に減らせる支出が少しでもないか検討しましょう。
たとえば、月5,000円の習い事費を追加するなら、携帯電話の契約プランを見直して月1,000円でも安くならないか検討する。小遣いを1.000円でも少なくできないか検討する。子どもの習い事と比較することで、前向きに「これは減らしてもいいな」と思える支出が見つかれば、その後の家計の健全化にもつながります。
このように全体調整ができると、習い事を追加しても家計に大きな負担をかけずに済みますね。
家族でお子さまの習い事を楽しもう
これまでたくさんの家計相談をお引き受けしてきましたが、中には習い事費がかさむため「残念だけど家族旅行や外食はあきらめている」という方も。一方で、全体の家計を把握した上で、習い事に優先順位をつけ、公民館で開催されているものなど安価な習い事も併用して、バランスをとっているというご家庭も見られました。
習い事をはじめると、お子さまの成長が見られるのはもちろん、発表会など家族の思い出になるイベントも増えます。ぜひ「習い事の資金計画」を立て、健全な家計を維持しながら家族でお子さまの習い事を楽しんでくださいね。
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