2019年10月27日 公開

メタ認知能力が高い人のメリットは?幼児期から伸ばすポイント

育児やビジネス、人材育成などで注目されている「メタ認知」という言葉。具体的にはどのようなことを意味するのかご存じですか?また、メタ認知能力が高いとどのようなメリットがあるのでしょうか。子どものメタ認知能力を高めるヒントをご紹介します。

メタ認知とは?


メタ認知やメタ認知力(Metacognitive Ability)という言葉をご存じでしょうか?本来は心理学の用語ですが、最近は子育てやビジネスシーン、仕事上の人材育成などで話題になることが増えてきました。

メタには「高次の」という意味があります。すなわち、高い次元で物事を見る力というのがメタ認知力です。メタ認知力を高めることで、自分自身や周りの物事を客観的にセルフモニタリングして、思考の癖や行動パターンを冷静に認識できるようになります。

子育てとは一見あまり関係の内容に感じられますが、実際はそうでもありません。メタ認知力を高めることで感情をコントロールし、良い人間関係を築けるようになることが期待されます。学習の進め方や自分の行動の傾向を知れば、失敗した事柄に対して理由を見つけ、次に同じ失敗をしないように対策ができるでしょう。

このようにメタ認知能力は、問題解決能力を高めて学力向上をサポートする力として注目を集めています。

メタ認知能力が高い人の特徴


メタ認知能力が高い人にはどのような特徴があるのでしょうか。メタ認知力をつけるメリットとして捉えながら考えてみましょう。

周囲へ気配りができリーダーとしての素質が高まる

周りの人の考えや相手の気持ちを理解し、状況を察知するスキルに長けているため、上手に空気が読めるようになります。周囲からの信頼も高まり、みんなをまとめるリーダー役の素質が高まるでしょう。

感情のコントロールが上手

自己分析する能力が高いため、自分の心の状態の変化にもいち早く気付き、感情を制御できます。欲求を上手に押さえられるため、今自分が何をすべきかを冷静に判断できることも特徴のひとつです。

自信にあふれ積極的に行動できる

たとえ課題にぶつかっても、解決するための方法を一人でも導き出すことができます。そのため自分の行動や考え方に自信がつき、物事に積極的に取り組めるでしょう。

メタ認知能力が低い人の特徴


反対にメタ認知能力が低い人には、どのような傾向があるのでしょうか。大きなふたつの特徴をご紹介します。

他者とのぶつかり合いが多い

自分の意見や行動の結果、どのようなことが起こるのかという具体的なイメージが想像しにくい傾向にあります。他人の考え方や意見が理解できず、協調性に欠けるため、自然と人間関係が難しくなってしまいがちです。

同じ失敗を繰り返す

状況や結果を客観視することが苦手なため、なぜそのような結果になったのか、自分の良くなかったところは何だったのかという分析が得意ではありません。そのため同じ失敗を何度も繰り返してしまう傾向にあります。

メタ認知能力を伸ばすには?


メタ認知能力を伸ばすと、たとえば子どもの場合では、テストで間違えたときに自分の計算の仕方や問題の解き方のクセを分析できるようになるでしょう。よってうっかりミスや忘れ物をしづらくなるとされています。こうしたメタ認知能力は、簡単なトレーニングで伸ばすことが可能です。

メタ認知では、これまで無意識で行動していたことに意識を向けることで、自分自身を客観視します。自分がなぜそのような行動を取るのか、自分には何ができる・何ができていないのかを1日の振り返りでチェックしてみてください。認知活動を繰り返すことで、自分の行動の傾向を効果的に把握できるようになります。

自分のことがわかるようになったら、それを改善するための行動に移ることが重要です。単に把握するというだけでは意味がありません。具体的に問題解決や乗り越えるべきも目標に向かって取り組むことで、自分を制御できるように訓練していきましょう。

幼児期からメタ認知能力を伸ばすポイント


幼児期では、自ら自分自身の言動の傾向に気付けることがあまりありません。親が積極的に関わり、メタ認知能力が伸ばせるようにサポートしてあげる必要があります。幼児期からメタ認知能力を伸ばすトレーニング方法をご紹介します。

日記をつける


日記には「どのようなことがあったのか」「自分はどのように感じたのか」「どのように対処し物事がどう変化したのか」などを具体的に記載します。1日の振り返りを行うことで、経験から自分の傾向を知ることができます。振り返りは記憶力が必要になるので、記憶力向上にもおすすめです。

子どもが小さく日記が書けない場合には、お風呂に入っているときに1日の振り返りの出来事を質問してみるのも良いでしょう。

今日習ったことを尋ねる

今日学校で学習した内容を尋ねて、教えてもらいましょう。自分が理解していること、そうでないことが子どもでも分かりやすいトレーニング方法だと言えます。

テストを振り返る

学校でテストなどを受けた場合には、点数よりもどこをどう間違えたのか、どうすれば間違えにくくなるのかを子どもに考えさせます。「なぜ間違えたと思う?」「どうすれば良いと思う?」と適切なヒントを与えてあげることで、子どもは認知しやすくなります。

失敗から成功につなげる手段を考える

たとえば手で持っていたコップの水をこぼすなど、子どもがなにか失敗してしまったときはチャンスです。なぜそのようなことになったのか、どうすれば次は同じ失敗をしなくなりそうか、子どもに考えてもらいましょう。親が答えや方法を教えるのではなく、自分で考えることでメタ認知能力が高まっていきます。

親子でメタ認知能力を高めよう

多角的な視点で自分や物事を見られる人が、メタ認知能力の高い人です。メタ認知能力は「考える」ことにこそポイントがあります。なぜそうなるのか、なぜそうしたのか、どうすれば良かったのか、次はどうしたいのかなど、子どもに考えるヒントを与えてあげましょう。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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コバヤシ トモコ コバヤシ トモコ  奈良県出身/フリーライター/週末釣り部/海と釣りが好き/ 優しいダンナ君と優しい中学生の双子男子のステップファミリー