2019年3月11日 公開

NICUからの退院準備!わが子とはじめての共同生活【英国すくすくレポ】

出産直後、赤ちゃんがNICUに入院。一緒の時間を過ごせないまま一旦、退院をしていた筆者ですが、娘の退院準備の一環として、「トランジショナル・ケア」を病院から提案されました。母子同室で再度、ケア入院した体験レポをイラストとともにお届けします。

トランジショナル・ケア入院とは?

トランジショナル・ケアは、あまり聞きなれない言葉かと思いますが、それぞれ訳すと「transitional (移行期の)」「care(ケア・介助)」、つまり一つの状態から次の状態への移行に伴う病院のケアです。

私の場合は、娘のNICU入院生活から退院に向けての移行と、母と子ともに過ごすことへの準備として、病院側が提案してくださいました。

ちなみに、イギリスの医療はNHS(国民医療制度)を利用した医療・入院だと無料で受けることができます。ですので妊娠出産にかかる費用が無料だったうえに、このトランジショナル・ケアも無料で受けることができました。

連絡を受けて、さっそく入院の準備開始。タオルや洋服など基本的なもの、赤ちゃん用のおもちゃ、おむつなど、出産準備で用意したものを参考にしながら荷造りしました。

このときは、まだ一度だけ抱っこしただけの自分の娘との2人でのお泊り(入院)を想像して、やっとたくさん抱っこできるという喜びと同時に、上手にお世話ができるだろうかという不安も正直ありました。

入院セットの準備が完了し、夫と病院へ。

NICUへ娘を迎えに行き、赤ちゃん用のベッド(透明のケースで横からでも中の様子が見える)に赤ちゃんを寝せて、そのままベッドの台のキャスターをガラガラ押しながら、一般の6人部屋へ移動しました。

赤ちゃんを眺めているうちに、あっという間に面会時間終了になり、夫は帰っていきました。緊張しつつも、これから私がこの赤ちゃんのお世話をするんだ!とやる気がみなぎったところで、看護婦さんがやってきました。

「授乳の仕方は分かりますか?」「量は出ていますか?」などの質問はなく、「とりあえず、授乳にトライしてみてくださいね」というアッサリした感じ。

私も何がわからないのかも分からず、授乳ができるのかどうかも(やったことがないので)わからず、つい「やってみます」とだけ返事してしまったから、さあ大変。深く考えず、看護婦さんの背中を見送ったことを後悔しました。

娘に授乳を試みるものの、飲めていないのは明らか。お腹が空いているようで、娘の方も必死で口をつけてくるけれど、やっぱりうまく授乳できない……。赤ちゃんは顔を真っ赤にして泣くわ、私も焦るわで、ちょっとしたカオス状態に!

さっき看護婦さんを見送ったばかりで、大変申し訳ないと思いつつも、ナースコールを押しました。

アドバイスを受けながら何度も練習するうちに、なんとか授乳もできるようになりました(ゴクゴクと飲んでいるのが、感覚で分かるようになり、ホッ……)

アクシデントも、今では良い思い出です

入院中は比較的よく寝てくれた娘。初日も母乳をよく飲んで、その後ぐっすり長めに寝てくれました。

そんな初日の夜に起こった出来事……。

そりゃまあ、たくさん飲めば、たくさん出ますよね。自然の摂理です。

心の準備は出来ていましたから、焦りはなし!

しかしながら……予想外でした。
色が、予想外でした!!

新生児の胎便が緑がかった色というのは、育児本を読んで知っていましたが、娘は生まれてからもう数日たっていたので、まだその色が出るとは思っていなくて、ビックリしました!

出産後の不安を解消できました

最初は、授乳もおむつ替えも、いろんなお世話に関しても本当に不慣れだったので、育児書で知識を得てはいたものの、実際にするとなると不安がいっぱいでした。でも、こうやって移行期のケアとして、母子ともにプロのいる場所で練習するチャンスをいただけたことは、本当に助かりました。

イギリスの出産後の病院への滞在が、日本と比べて短いのは、テレビやメディアを通じてご存知の方も多いと思います。

私も2人目出産のときは翌日に退院をしたのですが、これは特に問題がなかった場合の話で、今回のエピソードのように、病院が必要と判断すればちゃんとケアを与えてくれるシステムが用意されているので、安心できます。

ちなみに、イギリスは、赤ちゃん用・子ども用のカーシートに関してとても厳しい国です。

赤ちゃんが退院の際、車で帰宅する場合は、カーシートをちゃんと用意しているか、きちんと座席に装着できたかを病院のスタッフにチェックされます。もし、カーシートを忘れてしまった!なんてことになったら、絶対退院させてもらえません~(徒歩で帰らない限り……)。

わが家は、車が特殊だったため座席に合うカーシートが1品しかなく、それさえも装着のポジションが少し不安定な感じだったため、結局車を買い替えることになりました。

出産費は無料だったものの、車を購入するはめになり、そこそこの出費になってしまった……という思い出深い、1人目出産でした。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

いしこがわ理恵 いしこがわ理恵  在英12年目ハンドメイド好きの2児の母。武蔵野美術大学卒業。現在は教育に携わる仕事の他に、日本にルーツのある子どもたちを対象とした日本語子ども会活動・児童文庫活動も行っています。興味の範囲が幅広いので、常にいろいろな方向にアンテナをはりつつ情報収集が日課です。ハッピー子育てに役立つ情報をみなさまにお届けできれば嬉しいです。Instagram @rie.ishikogawa