2018年11月21日 公開

現代版「ABCの歌」の歌詞とは?今と昔の違いと歌い方のコツ

26文字のアルファベットを、歌いながら覚えられるABCの歌。パパママにも馴染み深い歌ですが、じつは親世代と子ども世代では歌詞・歌い方が違っています。現代版の歌詞は、本場アメリカをもとにしたもの。今と昔を比較しながら、歌い方のコツもご紹介します。

「ABCの歌」日本ではいつから歌われた?

ABCの歌はアルファベットを覚えるために考案された、童謡『きらきら星』のメロディーにアルファベットの歌詞をつけたもの。歴史は古く、江戸末期にジョン万次郎が翻訳した英会話本で紹介されました。幼稚園・保育園などで歌われることもあり、日本人のほとんどにとって馴染み深いものでしょう。

日本語も学習途中の乳幼児期に、26文字のアルファベットの形と音を暗記することはなかなか難しいかもしれません。しかし、穏やかな『きらきら星』のメロディーに合わせてアルファベットを口ずさめば、小さな子どもも楽しく覚えられます。

パパママの時代とは変わったABCの歌

子どもが口ずさむABCの歌を聞いて「自分の知っているABCの歌と違う!」と驚くパパママは多いかもしれません。20代以降のパパママ世代が知っているABCの歌の歌詞は、以下のようなものではなかったでしょうか?カッコ内は、きらきら星の歌詞です。

A-B-C-D-E-F-G(きらきらひかる )

H-I-J-K-L-M-N(おそらのほしよ)

O-P-Q-R-S-T-U(まばたきしては)

V-W,(and)X-Y-Z(みんなをみてる )

A-B-C-D-E-F-G(きらきらひかる )

H-I-J-K-L-M-N(おそらのほしよ)


「文字を当てはめただけ」の単純さが、幼児がアルファベットを覚えるのにちょうど良い難易度でした。メロディーに合わせるため5行目、6行目でA~Nまでが繰り返しとなります。O~Zまでは繰り返しなしで終了するため、中途半端な印象もあります。

♬ABCSong -Twinkle Twinkle Little Star【Nursery Rhyme, Kids Song for Children】

20代以降のパパママ世代ではこちらの歌い方だった方が多いのでは?

現代の主流はアメリカの歌い方

今の子どもたちが幼稚園・保育園・英会話教室などで習うのは、主にアメリカで歌われているABCの歌。英語圏ネイティブの子どもたちが歌っている、いわば本場のABCの歌が主流となっています。歌詞も歌い方も違うので、異和感を覚えるパパママもいるでしょう。現代版ABCの歌の歌詞は以下のとおりです。

A-B-C-D-E-F-G(きらきらひかる)

H-I-J-K-LMNOP(おそらのほしよ)※L~Mは他の文字の半分の長さで一気に歌う

Q-R-S,(1拍休む)T-U-V(まばたきしては)

W--X--(WとXは2拍伸ばす)Y and-Z(みんなをみてる )

Now I know my ABCs,(きらきらひかる)

next time won't you sing with me ?(おそらのほしよ)

まずは2行目の「LMNOP」の部分に驚くパパママが多いはず。ほかのアルファベットより早いテンポで歌うため、難易度が高く感じます。さらに昔はA~Nまでの繰り返しだった5、6行目が、英語の歌詞になっています。

「Now I know my ABCs,(さあABCをすべて覚えたよ)
next time won't you sing with me ?(次は君も一緒に歌わない?)」

この歌詞があることで、単なる暗記用の歌ではない「ABCの歌」として意味のある曲になっています。

♬ABC Song - Alphabet Song【Nursery Rhyme, Kids Song for Children】

現代版ABCの歌。LMNOPを一気に歌うところが難しいです。

いろいろあるアメリカ版の歌詞

一般的に歌われているアメリカ版の歌詞は先にあげたものになりますが、ほかにもいくつか違う歌詞が存在します。A~Zまで(1~4行目まで)の歌詞と歌い方は同じですが、それ以降(5、6行目)の歌詞が違うのです。

・「Now I know my ABCs(さあABCをすべて覚えたよ)
tell me what you think of me.(こんな私をどう思う?)」 


・「Happy, happy shall we be(ハッピーだね、)
when we learn our ABC(s).(アルファベットを学ぶって楽しいね。)」


・「Happy, happy shall we be(ハッピーだね、)
when we’ve learned our ABC.(アルファベットを学んだときって楽しいね。)」

またドイツなど、アメリカ以外の国で歌われているものとして、以下のような歌詞もあります。

・「Now I know my Alphabet(アルファベットを覚えたよ。)
Come along and sing with me.(さあ一緒に歌おう。)」

国・地域によって5,6行目の歌詞はさまざま。上記以外にも諸説あります。

アメリカ版が支持された背景

20数年前までは「H-I-J-K-L-M-N-O-P-Q-R-S-T-U(2、3行目)」と区切って歌うABCの歌が主流でした。その後「アルファベットの発音を正しく覚えるには、ネイティブが歌うABCの歌を歌うほうが良い」という考え方が少しずつ定着。現在では「H-I-J-K-LMNOP」と英語特有の発音が入ったアメリカ版ABCの歌が定番となりました。

アメリカ版ABCの歌が支持されたポイントは、以下の2点と考えられます。

・正しい英語の発音を促す「日本語発音では歌いにくい歌詞」が入っている。
・「Now I know my ABCs,next time won't you sing with me ?」のような英文が入っている。

一方の日本語の特徴として、文字の最後に母音をはっきりさせて発音する(エイチ・アイ・ジェイ・ケイ・エル・エム・エヌ……のように)、歌詞は音1つに対して文字1つであることなどがあげられそうです。

この特徴に合わせて歌詞を付けるとなると、かつてのABCの歌のように一定のリズム・同じ長さの音で歌うようになります。歌いやすいですが、英語の発音からはかけ離れてしまうでしょう。アメリカ版ABCの歌は「LMNOP(2行目)」と一気に歌う部分があり、ここは日本語発音では歌えないようになっています。

英語は文字の最後が子音で終わるのは普通。例えば「LMNOP」の「LM」は、日本語では「e-ru,e-mu」と発音しがちですが、正確には「e-l,e-m」と子音で終わる形で発音します。つまり母音の長さ分だけ発音が短くなるため、「LMNOP」と一気に歌うことが可能なのです。

正しい発音が必要になる歌詞があることは、幼児の英語学習スタートにふさわしい曲と言えるでしょう。

「LMNOP」を上手く歌うコツ

大人・子どもともに歌いづらいとの意見が多い「H-I-J-K-LMNOP」の部分。日本人からすると、音が多すぎて間に合わない気がしますよね。実際歌ってみるとかなり忙しく、メロディーに合わせるのが難しいと感じる方も多いでしょう。しかし動画などでネイティブの方が歌っている様子を見ると、慌てた様子もなくスムーズに歌っています。

先にも述べたとおり、英語では母音を発音せず子音で「el-em,en,o,p」となります。これを「ele-me-no-p」とつなげて発音すると、簡単に歌えるはずです。カタカナで表すと「エレ・メ・ノ・ピー」に近い感じで発音すると、上手く歌えます。

ネイティブの歌を聴いて真似してみよう

幼児期に身につけたい正しい英語の発音。基本はアルファベットからです。集中力があまり続かない幼児期には読み書き+遊びの要素も大切になります。パパママも一緒に教材・動画サイトなどでネイティブの歌うABCの歌を聴いて、子どもと歌ってみてください。

パパママも恥ずかしがらずに、ネイティブの発音を「そのままそっくり」真似てみます。親子で繰り返しものまねすることで、正しい発音に慣れていきましょう。子どもが歌っているもの、キャラクターが歌っているものなど、いろいろなABCの歌がありますが、はじめはできるだけテンポがゆっくりのものをおすすめします。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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aotanaoao aotanaoao  小学1年生の娘を育てる兼業主婦です。遊びながら知育できることを日々模索中。 英会話教材、学習テキストを使ってマイペースで家庭学習を楽しんでいます。