2018年3月5日 公開

まるで正反対!?日本と欧米の幼児教育、4つの大きな違い

近年、幼児教育に大きな注目が集まり、日本でも園ごとに個性豊かな教育が行われています。モンテッソーリ教育など欧米のメソッドを取り入れている園も見られますが、日本と欧米の幼児教育には、根本的に大きな違いがあるのです。その違いとはどのようなものでしょうか。

1.そもそも「教育」に対する認識が違う

「教育」は、日本では文字の通り「教え育てる」ことと認識されています。先生が子どもたちに何かを教える。これが、日本での一般的な教育のイメージです。

一方英語では、教育を「education」と言います。この語源は、ラテン語からきています。「e-(外へ)」「ducere(導く)」この二つを掛け合わせてできた言葉が英語の「education」です。

言葉の成り立ちを見ると、日本と欧米では、教育に対する認識が大きく異なることがわかります。欧米の教育は、「教えること」ではなく「可能性を外に引き出すこと」が重視されているのです。

2.個性に対する考え方が違う

日本でも、以前よりずいぶん個性が尊重されるようになってきました。しかし、欧米では個性は尊重するものではなく「伸ばすもの」と考えられています。

これは、欧米の特別支援教育にもあらわれています。たとえば、アメリカやカナダでは、特別支援教育の対象になるのは発達に遅れがある子どもだけではありません。知的に優秀な子どもたちや芸術面で優れた才能がみられる子どもも、特別支援教育の対象となります。

同世代の子どもに比べて突出した能力を見せる子どもは「ギフテッド」「タレンテッド」などと呼ばれ、より進んだ学習環境を受けることができます。

子どもの能力に合わせた教育を、という方針は、「子どもの個性や能力を最大限に伸ばす」という考えからくるものなのです。

3.しつけの仕方が違う

「しつけ」と聞くと、日本では「悪いことをしたら叱る」というイメージがあるのではないでしょうか。しかし、欧米のしつけは「良いことをほめる」のが基本。

たとえば、子どもが何か失敗をしたとします。日本なら、まず「どうして失敗したのか」と原因を追究して、子どもを責めてしまいがち。しかし、欧米では失敗を重視せず、できている部分に注目してほめるのです。これにより、失敗を恐れず何事も前向きに取り組めるようになると考えられています。

もちろん、欧米でも悪いことをしたときにはしっかりと叱ります。しかし日本とは、叱る比率とほめる比率が大きく違うようです。

実は筆者の子どもたちが通っていた幼稚園が、この考え方を取り入れた幼稚園でした。子どもたちは、どの子も前向きでのびのびと活動していたように思います。この幼稚園に入れたことでほめることの大切さを感じ、筆者自身も意識するようになりました。

4.勉強に対する考え方が違う

日本では勉強というと、「覚えるもの」と考えがちです。

しかし欧米では記憶力はほとんど重視されません。日本のように記憶力を問われるようなテストはほとんど行われないためです。欧米では、自分が得た知識を活用するとどんなことができるのかということが問われます。欧米の勉強とは「考えるもの」なのです。

幼児教育の場でも、考える力が育つよう、自分で考えて行動する場面が多く設けられています。これは思考力だけではなく、子どもたちの自立心も促します。

日本の良さと欧米の良さを取り入れて

ここまで読み、「なんだか日本の幼児教育は良くないみたい」と感じた方も多いのではないでしょうか。しかし、そもそも日本人と欧米人ではそれぞれ国民性が違いますし、歴史や文化的背景も違います。

日本の良さを生かしつつ、欧米の幼児教育の良いところを取り入れていくことが大切なのかもしれません。

最近は日本でも、園により多様な教育法が取り入れられています。なかには欧米式の教育法や考え方を取り入れているところもあります。

欧米の幼児教育も参考にしつつ、おうちでのしつけや幼稚園選びを考えてみてはいかがでしょうか。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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rinoyuzu rinoyuzu  はじめましてrinoyuzuです。高校生の娘と息子がいます。以前は教員をしていました。これまでの経験を活かしながら、記事を書いていきたいです。みなさまのお役に立てるとうれしいです。