2017年4月5日 公開

子どもが主体の教育メソッド「フレネ教育」の特徴って?

フランスから来た教育メソッド「フレネ教育」をご存知ですか?日本ではまだまだ馴染みが薄いかもしれませんが、そこに流れるスピリッツには、子育て世代のパパママが共感できることがたくさんあります。フレネ教育とはどんなものかを、その特徴から探ってみましょう。

フレネ教育って何?

フレネ教育とは、フランスの教育家セレスタン・フレネが始めた教育メソッドです。

フレネの考え方は世界中に広がり、現在、その実践方法を取り入れている学校は多数存在します。もちろん日本にも、フレネのエッセンスを取り入れたフリースクールがあります。

では、いったい、フレネ教育とはどんな教育メソッドなのか、簡単に解説しましょう。

子どもが主体で、具体的な経験を大切にする

もともと、フレネ教育というのは教師の教え込みへの批判から生まれました。だから、フレネ教育の根本は「子ども主体」。

子どもの真の興味や関心に従って学びを進めること、そのために子どもの生活に寄り添った具体的な経験を通して学びを見出すようにすること。

これがフレネ教育の中軸です。

異年齢集団で学ぶ

RimDream / Shutterstock.com
ヨーロッパのフレネ学校では、子どもたちは年齢関係なく共に学びます。

下の学年の子どもは上級生の「技術」を得られ、上の学年の子どもは「助け合い」や「主導権の取り方」を身に付けることができます。

自由作文の狙い

フレネ学校の子どもたちは、日常的に作文を書き、それを発表・討論したのち、印刷をしてみんなに配ります。つまり、作文が学びのテキストにもなるのです。

教科書や参考書など、大人から与えられているものには、大人や社会からの学びの意図が入っています。しかし、それが子どもの興味関心に沿っているとは限りません。

いつも通る道に珍しい虫がいた話、とっておきの飛行機の作り方、お母さんのお手伝いをした話……こういった内容は、子どもにとって重要な関心ごと。それらを伝えようとする時に得られる「表現力」を養うのも、フレネの自由作文の狙いです。

個人を大切にした学習計画や教材の数々

子ども一人ひとりが学びの中心者だと考えるフレネ教育では、個別の学習活動を大切にしています。特に読み書きは、個別の学習計画を立て、それに沿って学習を進めていきます。

それぞれが学習を進めていくためには、一人でも理解できるような「教材」が必要です。おはじき、時計の模型、図形を理解するためのパズル、分数を理解するためのケーキの写真……。教室には工夫された教材がいっぱい備えられています。

子どもたちは、それらを必要に応じて取り出して使います。

話し合い活動の充実

一人ひとりが学びの主体者なので、学校は子どもたちの力で運営します。

フレネ学校では、全校集会を頻繁に開き、自分たちの学校のルールや改善点を話し合っています。そこに年齢は関係ありません。小さい人でも大きい人に混じって、学校を自分ごととして捉えています。

一人ひとりに合わせた学び方の大切さを説くフレネ教育

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子どもたち一人ひとりに個性があるように、学び方や学ぶ内容にも多様性があっていい。そんなことをフレネは教えてくれているような気がします。

現代の私たちは、参考書やテキストに沿って勉強をします。しかしそこに、お腹の底から湧き出るような興味や関心、実感はあるでしょうか?

何から学ぶのか。何を学ぶのか。

親である私たちは、子どもにどんな有意義な学びをデザインしてあげられるのでしょうか。フレネの教育観が、そんな深いところまで考えさせてくれます。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

山葵菜コウ 山葵菜コウ  関西在住の1男1女年子の母。教育や学び、子育てにアンテナがぴーん!大学は初等教育・教育学を専攻。身につけた知識や思想を子育てに活かせるように日々奮闘しています。