2018年12月29日 公開

甘酒は子どもや妊婦さんでも飲める?甘酒の種類と栄養価

最近話題の甘酒に、どんなイメージをお持ちですか?「健康にいいらしい」と聞いたことはあっても、詳しくは知らない方が多いかもしれません。「酒」ということは、子どもや妊婦さんは飲めないのでしょうか?今回は甘酒の栄養価や手作りレシピなど、役立つ情報をご紹介します。

甘酒とは

甘酒には2種類ある

甘酒というと、どんな味のものを思い浮かべるでしょうか。初詣のときに飲む酒の味がするもの、あるいはお米の甘みがするもののいずれかを想像したかもしれません。どちらも正解で、甘酒には2種類あります。

ひとつは酒粕をベースに、砂糖などで甘味を付けたもの。もうひとつは原材料が米麹のものです。米麹から作る甘酒は砂糖無添加なので、お米の自然な甘みを楽しむことができます。

市販の甘酒は「お酒」?

甘酒はネーミングに「酒」と付いているため、お酒だと思っている方も多いでしょう。じつは市販の甘酒は酒税法上お酒ではないため、未成年の子どもでも飲むことができます。「本当に?」と感じた方は、文部科学省・日本食品標準成分表などでチェックしてみましょう(※1)。酒類とは異なるカテゴリーに分類されていることが確認できます。

甘酒のアルコール度数

甘酒はお酒ではないとお伝えしましたが、正確には酒粕を使った甘酒の場合、1%未満のアルコールを含みます。妊娠中のアルコール摂取については、日本産婦人科医会が胎児への影響を考慮して、禁酒を推奨しています(※2)。甘酒に含まれるアルコールは1%未満と微量ですが、お子さまや妊婦さん、授乳中の方は飲むのを控えておくのがベストだと言えそうです。

アルコールが飲めない人は、米と米麹から作るノンアルコールの甘酒を楽しみましょう。アルコール度数0%なので、誰でも安心して飲むことができます。
※1 文部科学省「日本食品標準成分表」
http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365295.htm
※2 日本産婦人科医会「飲酒、喫煙と先天異常」
http://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/jigyo/SENTEN/kouhou/insyu.htm

甘酒の栄養成分や効果は?

栄養成分

甘酒は「飲む点滴」ともいわれるほど、栄養満点な飲み物です。特に疲労回復の効果が期待できるブドウ糖や、オリゴ糖がたっぷり。ほかにも葉酸をはじめとするビタミン、アミノ酸、食物繊維などを含んでいます。

甘酒に含まれるアミノ酸は、グルタミンやシステインなどさまざま。そのなかでもアルギニンは、乳幼児期に不足しやすいアミノ酸です。大人も体力を消耗したときや高齢になると不足しがちになるため、甘酒などの食品から補ってあげるようにしましょう。

気になるカロリーは、コップ1杯(200ml)で約162kcal。これはご飯茶碗1/2杯強、6枚切りの食パン1枚と同じくらいのカロリーです。1日1杯程度にとどめて、飲み過ぎには注意します。

甘酒の効果

甘酒をおすすめする理由は、なんといっても「発酵食品」であること。米麹を使った甘酒は、米に麹菌をつけて発酵させるため、発酵の過程で身体に良い成分がたくさん生まれます。でんぷんからオリゴ糖が作られたり、たんぱく質がアミノ酸に分解されたりするのも発酵の力です。

そのほかにも腸内環境を整える善玉菌、各種ビタミンなども作られます。これらによって免疫力のアップや、お腹の調子を整えて便秘を改善する効果が期待できるでしょう。また、女性には嬉しい美肌効果も見込まれます。

もうひとつ忘れてはいけないのが、甘酒に含まれる食物繊維。糖質と食物繊維を一緒に摂ることで、飲んだときに出る「肥満ホルモン」の分泌を抑える効果が期待できます。米麹の甘酒は砂糖を加えていないのに濃厚な甘みを感じられるため、少量で満足感を得られるのも嬉しいポイント。小腹が空いたときのおやつに最適です。

酒粕を使った甘酒にも、脂質やたんぱく質を代謝するビタミンB群、食物繊維などが含まれています。月桂冠総合研究所の発表により、酒粕には身体をポカポカと温める効果があることも判明しました(※3)。
※3 月桂冠総合研究所「酒粕のイメージを検証し、日本醸造学会で発表」
http://www.gekkeikan.co.jp/company/news/201610_03.html

子どもが甘酒を飲めるのはいつから?

米麹から作る甘酒であれば、アルコール分を含みません。生後10カ月頃の赤ちゃんから飲むことができます。ちょうど離乳食後期くらいを目安にしましょう。飲ませるときは月齢に応じて飲ませる量を調整してあげてください。

赤ちゃんや妊婦さんが飲んでも大丈夫?

米麹から作る甘酒は、赤ちゃんや妊婦さん、母乳をあげている授乳中のママでも安心して飲むことができます。ただしノンアルコールの甘酒であっても、飲む量には気をつけなければなりません。

たとえば、離乳食期の赤ちゃんは胃腸の発達が未熟です。甘酒を飲ませると胃腸に負担がかかり、下痢をしてしまう可能性があります。甘みも強いので、味に敏感な赤ちゃんにそのまま飲ませることは、あまりおすすめできません。砂糖やみりんの代わりに、調味料として利用してあげましょう。

幼児食になったら、水やお湯、市販の豆乳やヨーグルトなどで薄く割ってあげると飲みやすくなります。甘みがあるのでおやつにも最適です。妊婦さんの場合も体重管理が必要となるので、飲む量には十分気をつけます。飲みすぎは体重増加の原因となりかねません。

少し先の話になりますが、子育てがひと段落してからも適量を守ることを忘れずに。なんでも飲みすぎ食べすぎは、身体の調子を狂わせるもとになってしまいます。あくまで嗜好品として、甘いものが欲しくなったときに1日1杯を目安に摂り入れるのがおすすめです。

甘酒さえ飲んでいればOKと思わずに、普段の食事でいろいろな食材を食べることを心掛けてみてください。

子どもでも飲める甘酒の作り方

意外かもしれませんが、甘酒はとっても簡単に手作りすることができます。いろいろな作り方がありますが、今回は保温機能のある水筒で作る、お手軽レシピをご紹介します。

【材料】
ご飯 200g
米麹 200g
水 600ml

【作り方】
1. 水筒に熱湯を注ぎ温めておきます。1.5l程度の容量があり、保温性の高いものがベストです。
2. 鍋にご飯と水を入れて火をつけ、60度になるまで温めます。麹菌は60度以上で死滅してしまうので、沸騰させないように温度計を使うことがポイントです。
3. 2にほぐした米麹を入れて、60度になるまで再び過熱します。
4. 水筒のお湯を捨てて3を入れ、軽くかき混ぜましょう。
5. 蓋をして、そのまま7~8時間くらい経てば完成。夏は冷やして飲んでもおいしいです。

手作りの甘酒は雑菌が繁殖しやすいので、できるだけ早めに飲み切りましょう。

甘酒を上手に活用して楽しい食卓を

甘酒はおやつや調味料にうってつけのアイテム。簡単に手作りもできるので、ご紹介したレシピを参考にして、できたての甘酒を親子で楽しんでみてください。

いろいろな食材を食べて多くの食経験を重ねることが、子どもの健やかな発育につながります。甘酒を上手に活用しながら、たくさんの食材を使った料理にチャレンジしてはいかがでしょうか。
(執筆:管理栄養士  佐藤まゆこ )
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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佐藤まゆこ 佐藤まゆこ  管理栄養士で1歳児の母。離乳食や幼児食など「子どもの食」についての研究家。他にも、ダイエット指導、食を通した健康管理のアドバイスなど、食を通して人を笑顔にするために活動中。