2016年8月18日 公開

みんなに親しまれている「ぞうさん」の歌詞にこめられた深い意味

まど・みちおさんが作詞をした童謡「ぞうさん」は、昔から多くの人に親しまれている日本の代表的な童謡のひとつですが、実はこの「ぞうさん」の歌詞には、深い意味が込められていたのです。今回は、童謡「ぞうさん」にまつわるいろいろなエピソードをご紹介します。

童謡「ぞうさん」が世の中に出た経緯

タイトル:ぞうさん-まど・みちお童謡集-<白寿記念> CD
レーベル:キングレコード
童謡「ぞうさん」は、1948年に存在の詩人と称された「まど・みちおさん」さんが書いた詩に、1953年にクラッシック作曲家の「團伊玖磨(だんいくま)」さんが曲をつけて、多くの人に親しまれている現在の童謡「ぞうさん」として形を成しました。はじめて世に出たのは、NHKのラジオ放送です。
詩と曲が書かれた時期が離れている理由は、最初につけられた曲を「犬のおまわりさん」で知られる童謡作家・佐藤義美さんが気に入らず、團伊玖磨さんに再度曲をつけてもらったという経緯があったためです。
作詞家、まど・みちおさん。作曲家、團伊玖磨さん。そして、キーパーソンの佐藤義美さんの3人の人物の協力の元、名曲「ぞうさん」は誕生したのです。

作詞家まど・みちおさんって、どんな人?

タイトル:まど・みちお: みんなが歌った童謡の作者
著者:谷悦子(文)/黒須 高嶺(絵)
出版社:あかね書房
まど・みちお(本名:石田 道雄)さんは、1909年に山口県都濃郡徳山町(現:周南市)で生まれ、2014年に東京都稲城市で満104歳で亡くなるまで、作詞家としての人生を全うしました。また、51歳から55歳まで描いていた100近くを超える絵が、周南市美術博物館の、「まど・みちおコーナー」で展示されています。
1934年に雑誌『コドモノクニ』の童謡募集に応募した「ランタナの籬(かき)」「雨ふれば」が、選者だった北原白秋の目に止まり特選に選ばれたのをきっかけに、詩や童謡の世界に足を踏み入れました。
その後、出版社に入社され、チャルドブックの創刊に携わったあと、フリーに転身。数々の詩を発表し、多くの賞を受賞しました。
童謡の代表作には、「やぎさんゆうびん」 「ぞうさん」 「ふしぎなポケット」など、今でも子どもたちに愛されている名作が数多くあります。

童謡「ぞうさん」に込められた本当の意味

童謡「ぞうさん」は、子どものゾウがほかの動物に「お鼻が長いのね」と言われて、「そうだよ。お母さんも長いんだ」と朗らかに答えるストーリーです。
子どものゾウが、お母さんを大好きな気持ちが伝わってきて、ほのぼのとした気持ちにさせられますよね。
でも、よく考えてみるとどうでしょうか?
子どものゾウは、ほかの動物に「君は鼻が長い」と言われました。つまり、「君は見た目が僕たちと違う」と言われたのです。
実際、このようなシチュエーションで自分だけが違うと指摘されたら、「からかわれたような気持ち」になるのではないでしょうか?
でも、子どものゾウは卑屈にならずに胸を張って朗らかに答えます。
「そうだよ。お母さんも鼻が長いんだ。そんなお母さんが僕は大好きなんだ!」と。
ここには自分という個性を受け入れ、自信をもって生きる子どものゾウの前向きな姿が描かれているのです。

「あるがままに」自分という個性を認める生き方

童謡「ぞうさん」の中で、他人がどう思うかではなく自分がどう思っているかを胸を張って主張する子どものゾウ。自分のありのままを受け入れ、自分という個性を認めているからこそできる行動です。
私たちは、ひとりでは生きられません。常に人とのかかわりの中で生きています。ともすれば、引っ込めてしまいがちな自分という個性。
「君は君のままでいいんだよ」
「ありのままの君が大好きだよ」
作詞家・まどさんの、そんな優しい熱いメッセージが感じられませんか?
そしてそれはそのまま、私たち親が、子どもたちへと伝えていきたい大切な思いでもあるのです。

「自分に生まれてきて良かった」そう思える心を育もう!

まどさんのメッセージは、なにも子どもたちだけに向けられたものではありません。
大人も子どもも、ゾウもほかの動物も、この世に存在するすべてのモノへ向けられた、生きる喜びにあふれたメッセージです。
私たち親もそのメッセージを真摯に受け止め、子どもたちにも、「自分に生まれてきて良かった」そう思える心を育んでいきたいですね。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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たまこ たまこ  オンラインで小説や育児4コマ漫画を描いています。年の離れた末っ子長男は、4コマネタの宝庫です♪