2017年5月3日 公開

大人になってもママ大好き!メキシコ流母の日の祝い方に考える

わが子にはいつまでもママ好きでいてほしいものですが、大人になっても「ママ大好き!」と自分が親に言うのはちょっと恥ずかしいですか?メキシコでは、大人でも母親に感謝の気持ちを伝えるのは、ごく自然なこと。そんなメキシコ流の母の日のお祝いの仕方、母に対する愛情表現から学ぶことをご紹介します。

「ママ大好き!」なメキシコ人流のお祝いとは?

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母の日の贈り物といえば、カーネーションを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか? アメリカでの習慣が由来ということですが、こちらメキシコではカーネーションを贈ることは一般的ではありません。

プレゼントを贈ることももちろんありますが、家族で集まって食事をするのが定番の祝い方。そのため、母の日は食事に出かける家族の車で道路は大渋滞。ホテルやレストランでもさまざまなプロモーションが行われ、予約必須の状態となります。

日本では、母の日にプレゼントやお祝いをするのは「未成年の子ども」というイメージがあるかもしれません。ですが、すでに成人となった人たちも、やはりそれぞれの母親の「子ども」であることに変わりはない、というのがここでの考え方。

いくつになっても、母親は母親。感謝することに年齢は関係ない!と大好きなママを囲んで、家族みんなでありがとうの気持ちをこめてお祝いするのがメキシコ流母の日、といえるでしょう。

母の日の始まり

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さて、母の日、といえば5月の第2日曜日を指す国が多いようですが、メキシコでは毎年5月10日が母の日です。

これは、メキシコの新聞、エクセルシオール紙編集長が1922年に「5月10日を母の日として祝おう」というプロモーションを行ったのがきっかけ、といわれています。

5月10日はみんなお休み!?

必ずしも日曜日にあたらないメキシコの「母の日」ですが、そこは母親を大事にするお国柄。法定休日とは別の「慣習休日」として、学校だけでなく多くの会社もお休みになります。

筆者の勤める会社では、残念ながら昨年より母の日の休日制度が取りやめとなってしまったのですが、それでも子どものいる女性従業員にはデパート商品券のプレゼントがありました。

そして、結局のところ社員の半分以上は有給休暇を使ってまで「母の日」には家族で過ごすことを選んでいたのが印象的です。

メキシコ人の心の母「グアダルーペの聖母」の存在

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そこまでメキシコ人が母親に対して強い愛情注ぐ理由のひとつに、マリア信仰の強さがあります。

メキシコに住んでいると、教会だけでなく、街のあちこちで「グアダルーペの聖母」の絵を目にする機会がたくさんあります。

バチカン公認で、キリスト教の世界の三大奇跡のひとつにも数えられているこの聖母は、一般的にイメージされる「聖母マリア」とは少し異なり、褐色の肌、つまりインディヘナの血を引くメキシコ人たちと同じ肌を持っています。

人口の90%がカトリックといわれるメキシコですが、中でもこの「自分たちと変わらない、身近な存在」であるグアダルーペの聖母への信仰は並々ならぬものがあります。まさに、メキシコ人たちにとって心の母、といえるでしょう。

そしてこのマリア信仰の強さが相まって、自分たちの母親への強い尊敬と愛情になっていると考えられます。

いつも感謝の気持ちを伝えられる大人に

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ともすると、特に男性の場合、「大人になってからもお母さん大好きだなんてマザコンかしら」なんて、ネガティブに捉えられることもなきにしもあらずな日本。ですが、メキシコに住んでみると、ひげをたくわえた立派な男性が小柄なお母さんをエスコートしながらランチを楽しむ、という場面はなにも特別なことではありません。

また、自分が母になった今、家族みんなが母親に対する感謝と愛情を述べてくれる文化はやはりうれしく、お母さんを大切にする気持ちを素直に表すことは、実は自然なことなのではないかな、と感じます。

親になった皆さんも照れくさい気持ちをちょっと隠して、母の日には「お母さん、いつもありがとう」と自分の母親に気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか?そんな姿を見て育ったお子さんも、きっと大人になっても感謝の気持ちを伝えられる人間に成長するのではないでしょうか。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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Mariposa Torres Mariposa Torres  メキシコシティ在住9年目。メキシコ人の夫、娘、2匹の猫と一緒に暮らしています。現地日本語・スペイン語フリーペーパーの編集長を経て、現在は企業勤めのかたわら、フリーライター。タコスやテキーラ、太陽サンサン…でも世界でもっとも危険な国!?というメキシコのステレオタイプなイメージを変える、そんな楽しい現地レポートをお届けします。