2018年8月1日 公開

「2人目の壁」を乗り越えるには?パパママの切実な声が明らかに

第2子以降の出産をためらう「2人目の壁」。共働き世帯や核家族化が進むなかで、深刻な問題になっています。1moreBaby応援団が実施した「夫婦の出産意識調査2018」から、その原因が明らかになりました。「2人目の壁」を乗り越えるヒントも合わせてご紹介します。

子どもを産みやすい国に近づかず……出生率が低下

alice-photo / Shutterstock.com
公益財団法人1moreBaby応援団が実施した「夫婦の出産意識調査2018」によると、「日本が産みやすい国に近づいていない」と答えた人は、 72.7%にもおよびました。 昨年と比べると、2.7ポイント上昇する結果に(既婚者対象)。また、未婚者の回答は78.6%となり、未婚者の方が「産みにくい」と感じているようです。

この調査は、2013年から開始して今年で6回目。今回は、既婚者(結婚14年以下)約3,000名に加え、20歳~49歳までの未婚の男女約1,000名も対象としました。

また、厚生労働省が発表した人口動態統計によると、2017年の出生数は前年よりも3万人減少し、過去最少を更新。さらに、1人の女性が生涯に産む子どもの割合は1.43となり、2年連続で低下しました。特に、東京都をはじめ大都市ほど低下幅が大きくなっています。

「2人目の壁」を感じるパパママは70%以上!

1moreBaby応援団調べ
「夫婦の出産意識調査2018」で、「2人目の壁が存在すると思う」と答えた人は、既婚者全体の74.3%。6年前から変わらず、高い数値となりました。

その理由をママに聞いたところ、2人目の壁は「経済的な理由」が84.0%で前回同様トップに。次いで「第1子の子育てで手一杯」が49.1%、「心理的な理由(特に育児のストレスなど)」が45.0%と続きました。

また、「現在のパートナーとの家事の分担に満足している」と回答したパパが73.0%に対し、ママは45.2%と大きく下回りました。「2人目の壁」の背景には、経済面だけでなく、パパママ間で家事や育児などの分担がうまくいっていないこともあげられます。

1moreBaby応援団では、「2人目の壁」を生活費・教育費に関連した家計の見通しや、仕事などの環境、年齢等を考慮し、第2子以後の出産をためらうことと定義しています。

子育て資金には残業代が必要!?

1moreBaby応援団調べ
「夫婦の出産意識調査2018」では、「日本社会全体の働く環境は良い方向に変わっていない」と回答した人が69.4%となりました。 政府のすすめる「働き方改革」が、多くのパパママにおいて実感できていないことがわかります。

さらに、「子育てに必要なお金を考えると、今は残業(残業代)が必要」と回答したパパママが65.0%にもおよびました。この割合は、子どもの人数が増えるほど高くなっています。

働き方改革の目的の一つである「ワーク・ライフ・バランス」を進めると、残業が抑えられるメリットがある一方で、収入も減る心配があります。ちなみに「ワーク・ライフ・バランス」とは、以下の通りです。
「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」という言葉をご存じですか?働くすべての方々が、「仕事」と育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動といった「仕事以外の生活」との調和をとり、その両方を充実させる働き方・生き方のことです。
しかし、働き方を変えて家事や育児の時間にあてたくても金銭面を考えると、子どもを持つパパママにとっては受け入れがたい……という現状も。

そのため、1moreBaby応援団では、この調査結果から、「働き方改革」と同時に、残業が減っても賃金が下がらない、新しい評価軸の給与体系を見直す時期がきていると分析しています。

「2人目の壁」を乗り越えるヒント

Sunny studio / Shutterstock.com
1moreBaby応援団では、「なぜ、あの家族は二人目の壁を乗り越えられたのか? ─ママ・パパ1045人に聞いた本当のコト」という書籍を出版しています。その中には「2人目の壁」を乗り越えるヒントがつづられています。その中から一部をご紹介します。

タイトル:なぜ、あの家族は二人目の壁を乗り越えられたのか?
著者:秋山開、三輪慎一郎、藤平達之
出版社:プレジデント社

経済面の工夫

最も大きな問題である経済面では、不要なものを見直す「生活断捨離」を行うことが記載されています。たとえば、各種保険の見直し、車を手放すこと、理想を捨て現実的な範囲内での教育をすることなど。

出産前に資格を取得して家計が厳しくなったら仕事をはじめるママも。また、出産や育児をきっかけと捉え、学習塾やネイルサロンなどを開業するなど、子育てをしながら稼ぐ方法を自ら生み出すママもいるようです。

育児サポートの工夫

共働き世帯が増える中、育児の問題も深刻です。あえて義理の両親と同居することを選んだり、同じマンションに住むママたちと子育てサークルを立ち上げて環境づくりをすすめたりするママもいるとか。

また、パパを協力的にするために「ほめる・感謝する」は当たり前で、子育ての大変さを察してもらうことはあきらめ、言葉でやってほしいことを明確に伝えるようにしたという声もあります。

最後に……

George Rudy / Shutterstock.com
日本の出生率を高めるためには、「2人目の壁」を乗り越えることも重要です。政府がすすめる「働き方改革」について新たな側面が求められる一方、パパママのさらなる努力や工夫も必要なことが、今回の調査結果で明らかになりました。

1moreBaby応援団が行った調査によると、「2人以上を出産し子育てをする生活に満足している」と回答した人は98.4%にものぼります。この結果から、明るい未来が感じられます。「2人目の壁」に悩んでいる方は、今回ご紹介した本や、2人以上を出産している先輩ママの意見を参考にするのも一つの方法かもしれません。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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Kayoko* Kayoko*  千葉県在住。9歳と6歳の男児を持つママライター。得意ジャンルは育児、料理、ディズニー、ときどきお酒。大学では心理学を専攻。ただいま、スムージーダイエットに奮闘中!