2017年2月17日 公開

家族や親族との繋がりが大切な台湾での旧正月レポート

日本は新暦を採用しているので1月1日に新年がスタートしますが、中華圏である台湾では、旧暦でお正月を祝うため毎年日付が違います。日本のお正月とはまた違う文化や習慣など、筆者が台湾で過ごした旧正月で感じたことをまとめてご紹介します。

街は赤×ゴールドでゴージャスに飾りつけ

デパートの正面
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中華圏である台湾では、お正月といえば「旧正月」のことを指します。毎年日付が変わるのですが、日本で迎える1月1日のお正月から1カ月~1カ月半遅くにその日がやってきます。ちなみに、2017年は1月28日でした。

2018年の旧正月は2月15日が除夕(旧暦大晦日)、2月16日が初一(旧暦1月1日)となります。

中華圏でおめでたい色といえば、赤とゴールド。台湾でも、旧正月が近づくと、赤いちょうちんや干支の動物の飾りで街が一気に華やぎます。台湾のクリスマス時期の飾りはまだあまり洗練されていませんが、ゴージャスなデコレーションがデパートや商店に現れ、この時期だけの特別な市場が立つなど、旧正月は気合いの入れ方が違うと感じます。

正月飾りを売る商店
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親族が各地から集まる大晦日

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旧正月の大晦日は除夕(チューシー)と呼ばれます。

除夕には、全国各地から親族一同が集結します。台湾人の感覚では、一緒に住んでいなくても「いとこ」の範囲までは「家族」と捉えているようで、旧正月はどこの家庭も大家族のようになります。

筆者の親族は、義父の実家に勢揃いしました。なんと、ニューヨークに住む親族までも旧正月のために帰国してきます!普段はおばあちゃんが一人暮らしをしている家で、集まった人から家の掃除を始めたり、春聯(チュンリエン)と呼ばれる縁起物の赤い紙を新しいものに貼り替えたりします。

一同そろったら、まずは「拜拜」

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台湾のおせち料理にあたる「年夜菜(ニエンイエツァイ)」は年明けではなく、除夕にいただきます。

年夜菜を夕食にいただく前に先祖にお供えし、「拝拝(バイバイ)」というお参りをするのですが、おかずを10種類用意しなければなりません。筆者宅は一家の主であるおばあちゃんがベジタリアンであるため、全てベジタリアン食で作りました。

おかずを並べたら、全員が長い線香を代わるがわるに持って拜拜します。そして、外で紙幣に見立てた金紙と呼ばれる紙を燃やし終わったら、やっと夕食となります。

おせちのように意味がある年夜菜

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筆者宅では年夜菜は全て手作りし、自宅でいただきます。最近では、年夜菜を家で作るのは大変ということで、レストランを早くから予約して外食する家庭も多いです。

拜拜用のおかずに加えて、夕飯用に肉や魚料理も用意するため、女性陣は昼間ずっとキッチンに立ちっぱなしです。筆者も数品作りましたが、評判が良かったのはきんぴらごぼうでした。甘辛い味が台湾人の好みに合うようです。

日本のおせちと同じく、年夜菜も縁起をかついだ食べ物が並びます。長年菜(チャンニエンツァイ)と呼ばれる青菜はその名の通り長寿を願うもので、旧正月前にだけ出回ります。日本人も大好きな大根餅は手作りする家庭が多く、台湾語でラッキーの意味があります。鍋は一家団欒、また、魚は「余る」という字と発音が同じなので、お金に余りが出る、とされています。カラスミやアワビのような高級品も出されます。

赤い封筒に入ったお年玉

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台湾では、お年玉やご祝儀は「紅包(ホンバオ)」と呼ばれ、赤い封筒に入れる習慣があります。そのため、旧正月前には様々な封筒が店頭に並びます。

紅包を渡すタイミングも日本と異なり、除夕です。年夜菜も紅包も除夕に済んでしまうので、除夕でメインイベントが終わった感があります。

誰に渡すかは家庭により違いますが、筆者宅では成人した子も上の世代からもらえますし、働き始めたら両親や祖父母にあげるというルールになっています。

旧正月を迎えたらすること

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年が明けて1日目は、日本でいう神社にあたる廟に参拝しに行きます。筆者宅は土地の神様を中心に5カ所に参拝しました。その間に遠い親戚や知人が挨拶に来ます。台湾人はアポなしで尋ねたり、「今向かっているよ」と出発してから連絡をすることが多いので、来客はいつも急です。日本の感覚だと驚きですよね。

お正月2日目は、嫁が実家に帰る日です。筆者は帰るわけにはいかないので、この日は毎年義母の実家にご飯を食べに行きます。義母の実家も親族が泊まっている上に次々と来客があり、とてもにぎやかです。

旧正月を通して感じたこと

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旧正月の過ごし方は年々慣れてくるのですが、なかなか慣れないのが言語です。台湾の公用語は中国語(北京語)ですが、家庭では年配の方を中心に台湾語というローカルな言葉を使っていることが多く、このように親族が大勢集まる場では台湾語での会話が増えます。中国語しかできない筆者は中国語が話せないおばあちゃんと会話できませんし、皆の話題がさっぱり分からないことが多々あります。

それでも、台湾人は子ども好きが多いので、息子を通してコミュニケーションが図れます。誰かが常に息子と遊んでくれるので助かりますし、大勢の大人に囲まれて過ごすためか、息子の単語量が増えるなどの成長も実感できました。言葉の壁や独特の文化や習慣はあれど、やはり家族や親族との繋がりを強く感じた台湾の旧正月でした。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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えとうみほ えとうみほ  国際結婚で台湾在住、3歳と1歳の男の子2人の母。マザーズコーチングスクール認定ティーチャー、トラストコーチングスクール(TCS)認定コーチとして活動中。 緩いナチュラルライフを送っています。