2017年3月21日 公開

0歳から始める「ドッツカード」ってなに?

ドーマンメソッドのひとつとして有名なのが、子どもの数学的素地や知的好奇心を伸ばすドッツカード。「ドッツをやったけどやめてしまった」というお母さんも必見! 意外と知られていない真の効果についてもお知らせします。日本ドーマン研究所の野口光枝さんにお伺いしました。

日本ドーマン研究所の野口光枝さん photo by author

足し算、引き算、幾何も理解できる!?

ドッツカードとは、1970年代にアメリカの人間能力開発研究所のドーマン博士によって開発されたカードです。白地に赤丸が描かれたカードを、子どもたちに瞬間的に見せてあげることで、数学的素地が育ちます。経験を積めば積むほど能力はあがり、足し算や引き算、かけ算、わり算はもちろんのこと、幾何や代数など複雑な数学についても理解できるようになります。
ドッツカードで学んだ子どもたちは、数字が好きで、好奇心が強く、人の言葉をよく聞くなど、さまざまなことによく気がつく子どもへと成長していくのです。
なぜそのようなことが起きるのか、これからお話していきましょう。

生後3カ月からドッツカードに興味津々!

「ドッツカードは何歳から始めたらいいですか?」と聞かれますが、生後3カ月くらいから使えます。この時期の赤ちゃんはぼんやりしていた視力がだんだんとはっきり見えるようになってきます。それと同時に、身の回りにあるものに興味を持ちます。
まだ動き出さない赤ちゃんは、見たり音を聴いたりすることがすごく刺激になります。その時にドッツカードを1から100まで見せてもらっていくのは、すごくうれしくて、目を輝かせて楽しみます。この時期の赤ちゃんはいろんな刺激を受けることをとても喜ぶんですよ。

大人は挫折、子どもは100でもカウント可能?

ドッツカードは1~100までありますが、大人が目で見て数えられるのはせいぜい20くらいまで。70、80になると、ひとつずつドットを数えても間違えるほどです(笑)。それに対して子どもは100以上になっても認知できます。
なぜ子どもにできて大人にはできないのでしょうか。
その秘密は、大人は数を数字という「概念」でとらえ、子どもは「具体的な物」としてとらえるからです。概念で考えるより具体的なもので考えたほうが、わかりやすいですよね。
子どもは事実を見て把握する能力が高いのです。ドッツをカウントしているのではなく、事実そのものを見て、理解するのです。
ドッツカードで「具体的なもの」、すなわち「事実」を教えられた子どもたちは、本能的に数の法則を見つけ出すのです。

子どもは数の法則を自ら発見する

子どもたちにドッツカードを見せる目的は、そこにある法則に気づかせることが最大の目的です。
はじめて30からのドッツを見せるとき、30、31、32、33、34ときたら、子どもは次は「35がくるな」と予測するわけです。なぜならそれは1~10の繰り返しだと気づいているからです。そして予測通り「35」がくると「やっぱり!」と思い、ニヤッと笑うのです。
このように、ドッツカードを見ることで子どもたちはそこにどのような規則性があるのかを自然と考えるようになるのです。

世の中にある法則を見つけるのが楽しい

ドッツカードを通していろんな法則を見つけられるようになった子どもたちは、「ほかにはどんな法則があるかな」とまわりを見るようになります。そのため、もっといろんなことを知りたい、学びたいという意欲が高い子どもへと成長していくのです。
自分でいろんな法則を発見した経験を持つ子どもたちは、ただ赤ちゃん扱いされて1歳になった子とは目の輝きが違いますし、人の言葉もよく聞きます。なによりも生活そのものが1歳で違ってくるのです。

途中でやめてもドッツで学んだ思考法はいきている

「0歳のころはやっていたけど、途中でやめてしまった」というお話を聞くことがあります。お母さんたちは「ドッツをやめてしまったからもう効果はないんだわ」と思いがちですが、そんなことはありません。実はお母さんたちが気づいていないだけで、子どもは意欲に満ちあふれ、興味のあることはとことん追求したくなっているのです。たとえば、虫に興味を持つかもしれないし、絵を描くことだったり、工作をすることかもしれません。
子どもたちをじっくりと観察することで、今まで気づかなかったドッツカードの効果が実感できるかもしれませんね。

次回は、ドッツカードの具体的な使い方と、陥りがちな注意点についてお話していきます。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

間野由利子 間野由利子  いたずら盛りの4児のママ。都内在住。絵本を読むこと、写真を撮ること、子どもの作った作品をみることが大好きです。