2016年7月30日 公開

読解力世界一を支えるフィンランドメソッドとは?

フィンランドは子どもの学力が世界トップクラス。特に読解力に優れていることで知られています。その原動力はフィンランドで行われている教育法にあります。学力世界一を支える「フィンランド・メソッド」についてご紹介します。

高度な読解力の秘密

フィンランドの教育に注目が集まったのは2000年、2003年、2006年に行われたOECDによる国際的な学習到達度調査PISAがきっかけでした。フィンランドは、読解、科学、数学の全分野で上位を独占。特に読解力は2回連続で世界一という圧倒的な成績でした。その原動力となった教育法がフィンランド・メソッドです。

5つの力で子どもの国語力を鍛える!

フィンランド・メソッドの中核は国語教育。発想力、論理力、表現力、批判的思考力、コミュニケーション力という5つの項目を重視しているのが特徴です。

以下では特に教育効果の高い「発想力」「論理力」「批判的思考力」の3つを説明します。

カルタを使って発想力をはぐくむ

フィンランドの学校では授業で「カルタ」を頻繁に使います。といっても日本にあるような「かるた」ではありません。フィンランド語の「カルタ」は英語でいう「マインドマップ」のようなものです。

紙の中央にテーマ(たとえば「パソコン」)を書き、その周囲にテーマから連想したこと(「インターネット」「便利」等)を放射状に書き込んでいきます。これは人間の脳の機能に沿った思考法なので発想力を効率よくはぐくむことができます。

「どうして?」連発の授業で論理力を鍛える

フィンランドの小学校では、授業中に「ミクシ?」という言葉が飛び交います。「ミクシ」とは英語の「Why」にあたるフィンランド語です。たとえば先生と生徒で次のような問答が行われます。

先生 (机をさして)「これは何?」
生徒 「机です!」
先生 「机という言葉は名詞ですか?」
生徒 「名詞です」
先生 「ミクシ?どうして名詞なの?」
生徒 「だって、ぼくが机します、みたいに動詞的な使い方はしないし……」

このように生徒が明らかな正解を答えていても、「ミクシ?」とたずねてその理由をいちいち問うのです。こうすることで生徒は、短絡的な思いつきだけでは答えないようになり、物事を論理的に考えられるようになります。

作文を互いに添削し、批判的思考力を身につける

日本の学校ではよく「班」をつくって活動してましたよね。フィンランドでも班活動は重視されていて、特に班で作文を行うことで批判的思考力を養う機会としています。

たとえばある生徒がひとつのテーマで作文を書いたとします。それを班全体で議論しながら「この作文の良いところ悪いところ」を挙げていき、その結果にしたがって作文を書き直します。それで終わり、ではなく、今度はとなりの班にその作文を渡して添削してもらうのです。班によって添削内容は異なるので、「その意見は違うと思う!」などとディスカッションが始まります。

こうして世の中には異なる意見がいくつもあること、それを受け入れながら改善していくことの大切さを学び、批判的思考力を身につけていきます。

学力世界一のフィンランド・メゾットから学ぼう

OECDの学習到達度調査は無作為に選ばれた15歳の子どもを対象としています。つまり義務教育の成果がここに表れているわけです。日本とフィンランドの義務教育をまったく同じ土俵で語ることはできませんが、フィンランド・メソッドと呼ばれる教育法には日本の学校教育でも採用できるヒントがあふれています。フィンランド・メソッドの本も市販されているので、ご家庭で試してみてはいかがでしょうか!?
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

takutaku takutaku  雑誌の編集を経験後、フリーライターとして活動しています。