2018年4月2日 公開

映画のPGとは?過激な作品から子どもを守るしくみと基準

「子ども向けの映画だと思ったら、実はPG12指定だった。子どもに見せてよいのだろうか……」と迷った経験はありますか?映像作品の中には、幼い子どもには衝撃的なシーンが含まれるものがあります。作品ごとに鑑賞できる年齢制限を表した「レイティング」の基準について説明します。

映画のレイティングシステムとは?

Serhii Bobyk / Shutterstock.com
映画やDVDなどで「G」「PG12」などの表示を見たことがありますか?「何を表しているの?」「子どもに見せてよいもの?」と、戸惑った経験があるパパママも多いのではないでしょうか。

これは、子どもへの影響を考慮し、作品を鑑賞できる年齢制限を表したもので、映画の「レイティングシステム」などといわれます。以前は「R指定」と呼ばれていたもので、日本国内で上映される映画作品については、『映倫』という団体が審査しています。

現在の日本のレイティングシステムは、以下のようになっています。

G:すべての年齢層が鑑賞可能(小さい子どもが見てもOK)。

PG12:12歳未満(小学生以下)の鑑賞には、成人保護者の助言や指導が必要。

R15+:15歳未満の入場・鑑賞を禁止。

R18+:18歳未満の入場・鑑賞を禁止。

性描写や暴力、残酷なシーン、たばこや麻薬、反社会的な行動など、子どもが衝撃を受けるような過激なシーンが含まれる度合いに応じて、各作品が区分されます。

このレイティングは、主に日本の映画館で上映される映画に対して行われ、15歳未満の子がR15+の映画に入場することはできません。

PG12とは?ペアレンタルガイダンスとは?

photo_oles / Shutterstock.com
上記の区分の中でも、特にわかりづらいのが「PG12」ではないでしょうか。PGとは、ペアレンタル・ガイダンス(Parental Guidance)の略です。

PG12の「保護者の助言や指導が必要」とは、どういう意味でしょうか?

助言や指導の内容について、ハッキリとしたことはレイティングの中では触れられていません。

が、この区分に含まれる作品は、ある程度の、性や麻薬の描写、暴力や残酷なシーンを含んでいるものが該当します。

そのため、もし子どもが見る場合、ショックを受けないよう保護者が見守ったり、「マネをしてはいけない」と指導するなどのサポートが必要な作品、と考えるとよいでしょう。

ホラー映画や、明らかに殺人やバイオレンスをテーマにしている作品でも、直接的な殺傷シーンがなければPG12指定になり、子どもでも見ることが可能。

でも、小さい子どもにとっては、強い恐怖感を感じたり、傷つくような場面が含まれる可能性があるので、注意が必要ということです。

海外にはレイティングシステムってあるの?

オーストラリアのDVDでは、必ず目立つ形でレイティングを表示。
via Photo by author
このようなレイティングは日本以外にも、アメリカ・イギリス・シンガポール・カナダ・マレーシアなど、さまざまな国で行われています。しかし、その基準は国によってまちまちです。

筆者が住むオーストラリアにも、専門の委員会が定めるレイティングがあり、以下のようになっています。

G:General
内容は衝撃的でなく、全年代の鑑賞に適している。ただし、子どもが見て楽しめるものとは限らない。

PG:Parental Guidance
過激ではないが、子どもが混乱・動揺する可能性のある内容を含むため、15歳未満の子どもには、保護者が指導・説明することが推奨される。

M:Mature
やや衝撃的な内容が含まれるため、15歳以上の視聴が推奨される(ただし15歳未満が見ても違法ではない)。

MA 15+:Mature Accompanied
刺激の強い内容を含むため、15歳未満は保護者同伴でなければ視聴や購入ができない。

R 18+:Restricted
非常に刺激の強い内容のため、未成年の視聴や購入は禁じられている。


G、PG、Mは、子どもの鑑賞を制限するものではありませんが、作品を選ぶ際に、「これは子どもが見るのに適しているか?」と保護者が判断するための目安として定められています。一方、MA15+、 R18+は、条件を満たさない未成年の視聴を禁じるものです。

このレイティングは、映画のほか、販売されるDVDやゲーム作品にも表示されます。また、テレビ番組にも目安として表示されます。

「暴力」の解釈が国によって違う

日本の小学生に人気の「ナルト疾風伝」のDVDは、オーストラリアでは「M」の指定。
via Photo by author
海外のレイティングを見てみると、「子どもにとって刺激が強い映像」というものに対する感覚の違いがよくわかります。

たとえば、オーストラリアでも日本のアニメDVDが流通していますが、日本の子どもたちに人気の「ドラゴンボール」や「NARUTO」、「ONE PIECE」のDVDは、こちらではPGやMの指定になっており、「アニメで描かれた暴力」などの注意喚起を促す記述がパッケージに貼られています。

筆者が見た限り「暴力シーン」に対する基準は、オーストラリアでは日本より厳しくなっています。

日本のアニメの中では、パンチやキックのシーンが多く登場します。しかしこちらでは「暴力」の一種としてとらえられ、「子どもには適さない」「保護者のガイダンスを必要とする」作品と判定されます。

その理由のひとつとして、現実世界では「暴力はいけない」というルールがありながら、「暴力で
人を傷つける場面を見て楽しむ」ことに子どもが動揺したり困惑する可能性があり、それを大人は配慮すべきだという考え方があるのでは?と筆者は解釈しています。

最後に

Morrowind / Shutterstock.com
こうした「過激な情報から子どもを守る」ためのしくみは、日本においてはまだ課題も残されているのではないでしょうか。

ゲームについては、コンピューターエンターテイメントレーティング機構(CERO)が独自にレイティングを定めて審査しています。

が、テレビ番組やマンガについては、このようなレイティング制度はなく、放送局や出版社の配慮と良識に委ねられています。子どもに身近なメディアなので、親もよく考慮せずに受け入れてしまいがちですが、内容に気を配る必要があることを忘れてはいけません。

また最近では、動画や漫画などインターネット上のコンテンツの質も問題になっています。まだきちんとしたレイティングシステムが確立されていないため、大人の配慮が不可欠ではないでしょうか。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

Chieko Chieko  成人した娘、小学生の息子を持つ、二児のママ。2013年より西オーストラリア・パースに家族移住しました。英語教育やオーストラリアについて書くブロガー・フリーライターをやりながら、プログラミング・機械学習を勉強中です。